転売に大量放置まで…マクドナルドの“ポケカ”問題 企業の対策に専門家「本気ではなかったのでは」【Nスタ解説】

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マクドナルドが9日から3日間限定で、「ポケモンカード」付きのハッピーセットを販売しました。人気のカードを巡って、転売や商品を食べずに捨てるなどの行為が各地で相次ぎました。
【画像で見る】店舗周辺に“山の様に捨てられたマック” フリマサイトには既に“ポケカ”が続々と…
井上貴博キャスター:企業として、短期的には、こういったコラボレーションで一時期の売り上げが上がると言えるのかもしれません。しかし転売の温床になっていることを考えると、長期的に見るとブランドイメージを毀損するのではないでしょうか。
「ハッピーセット」を巡る動きです。ポケモンカードを2枚配布するという措置が、8月9日~11日の3日間限定で行われる予定でしたが、多くの店舗が1日で終了となりました。
2025年の5月には、「ちいかわ」「マインクラフト」とのコラボレーションがありました。転売目的とみられる購入も殺到し、販売期間を前倒して終了することが相次ぎました。そして、フリマサイトに大量出品されました。そろそろマクドナルドは何か対策すべきだろうという声も上がっていました。
今回、マクドナルド側はどのような対策を行ったのでしょうか。HP上での呼びかけで、▼転売・再販売、営利目的の購入などは禁止。▼食べきれない量の注文はやめてください。どちらもお願いベースで、どこまで効果があるのだろうかというところ。あとは▼1人5セットまでという購入制限をかけました。逆に言うと、2人だったら10セットまで、3人だったら15セットまで購入できます。そして、モバイルオーダーなどは、購入制限がなかなか行き届かなかったのではないか。そういったところも指摘されています。また、メルカリと連携をしました。▼商品情報・画像をメルカリ側に提供し、転売と認定した出品に関しては削除の対象にするという対策を、マクドナルド側は取っていたようです。
しかし実際にフリマサイトを見てみますと、「ポケモンカードマクドナルドハッピーセットプロモカード10パック」が2万4500円(税込み・送料込み)とあり、1パックあたり2500円前後で出品されているものが多く、既に取引済みの商品もいくつかありました。
中国SNSでは、“食べる代行”を募集するという呼びかけもありました。「大阪・東京でマクドナルド代食募集 無料で食べられます!」「マクドナルドで代わりに食べてくれる人募集」「西日暮里駅そばでマクドナルドを無料配布」こういった書き込みが多く出回りました。
そして、店舗周辺にハンバーガーなどが大量放置されました。これに対して、SNS上では「山のように捨てられたマック 前回の教訓が全く生かされていない」「大好きなマックが嫌いになりそう。何か対策をしてほしい…」との投稿があります。
井上キャスター:企業として、もっとやるべきことがあるのではないかという気がしてしまいます。
パナソニック社外取締役ハロルド・ジョージ・メイさん:言葉が悪いですが、企業からしてみれば、売上が上がったから喜んでいる部分はあると思います。しかし、問題は3つあります。まず▼フードロス、▼転売問題、▼企業の教訓です。「企業の教訓」として、初めてポケモンとコラボをする、まだ世の中にないキャラクターカードであるなど、そういった理由で予想がつかなかったと言うのならば、まだ分かります。でも、今、ポケモンカードは世界でものすごい人気があるわけで、これは(反響があると)分かったはずです。
井上キャスター:しかも、今回は“マクドナルド限定”ですから、もう1個、箔が乗っています。
パナソニック社外取締役ハロルド・ジョージ・メイさん:さらに、マクドナルド側は「限定」「すごい魅力です」「他にないですよ」と、とても煽ったわけです。初めてだったら分かるのですが、今回はそうではないです。前にも「ちいかわ」や「マインクラフト」「エヴァンゲリオン」などでも、同じことが発生したので、教訓が生かされていない。
「転売問題」としては、はっきり言うと「転売をなくす」ことはほとんど不可能だと思います。とは言いながらも、企業がどれだけ本気で転売を阻止したかが、私には疑問です。メルカリと本当に転売阻止をするというのであれば、画像提供だけではなく、今AIという技術もあるわけで、そのAIが分析した画像が「これは例のポケモンカードですね。これは駄目です」と弾くなど、今以上にできるはずです。(そうすれば)100%の転売を阻止するのは無理でも、これだけの出品はなかったはずです。だから、大変失礼かもしれませんけれども、そこまで本気ではなかったと、そう感じてしまいます。
井上キャスター:素人考えでも、引換券などそういう対策はできないのかなと思うのですが…具体的に「どう対策すればいいのか」を、専門家に伺いました。経営コンサルタントの坂口孝則さんによりますと、▼配布の際に商品価値を下げる。例えば、その場で開封してしまう。油性のマーカーで何かを書くなど。そうすると、商品価値をその場で下げることができます。また、公式アプリのアカウントと紐付けるなどをすることで、▼販売個数の制限をさらに厳しくできるのではないか。あと、マクドナルドの企業理念として掲げているフードロスを減らすために、▼飲食後に配布する。食べ終わった後に何か引換券のようなものをレジに持っていくなど、そういったこともできたのではないか。いずれにしても、企業はこういった対策をあまりしないせいで、現場の店員さんがものすごく忙殺されています。
パナソニック社外取締役ハロルド・ジョージ・メイさん:苦情も本社ではなく、各店舗にいくそうです。だから、店舗の店員さんが大変なんだそうです。店舗は、本社から言われていることを実行しているだけなので、落ち度はないわけです。これは本社に言わないといけないと思います。
教訓を生かすことですよ。過去にも(同じような事が)4・5回も起きているので、ブランドが傷つくと思います。また何かしらの希少価値のあるプロモーションをやるでしょうけれども、またマスコミも注目しますよね。企業としての姿勢が問われる1つの事例だと思います。
井上キャスター:今、厳しい目が向けられていますので、「マクドナルドとして今後どう対応するのか」になるだろうと思います。
==========〈プロフィール〉ハロルド・ジョージ・メイさんプロ経営者1963年オランダ生まれ現パナソニック・アース製薬の社外取締役など

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