「膣がふわふわに」介護ヘルパーに頼んでまで予約する高齢女性も…60代、70代だけじゃない、80代も利用する「女性用風俗」の“知られざる世界”

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近年、注目を集める「女性用風俗」。サービスを運営する女性用風俗『SPA White』オーナーのあす香さんによると、若い女性だけじゃなく、60~80代と高齢の女性の依頼まできているという。いったい何が彼女たちの心をつかむのか? その奥深さを、あす香さんと女性用風俗をテーマにした漫画『僕は春をひさぐ』の作者である水谷緑さんの対談よりお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
【マンガでわかる「女性用風俗」】「膣がふわふわに」孫ほど年の離れたイケメン女性用風俗セラピストは彼女を…“セックスレス歴30年”の高齢女性(71歳)のその後
女性用風俗オーナーのあす香さん(写真左)と漫画家の水谷緑さん(右)の対談をお届け。女性たちはそこに何を求めるのか―― 深野未季/文藝春秋
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――水谷先生が、あす香さんと出会ったきっかけを教えてください。
水谷緑(以下、水谷) あす香さんが女性用風俗「SPA White」の経営者としてメディアに出演されていたのを見て、ご連絡したんです。何回か取材させていただいたあと、「男性セラピストの研修の様子を見学させてください」とお願いしたら快諾してくださいました。
部屋には骨格標本の模型が置いてあり、あす香さんの指導のもと、新人の男性セラピスト同士がマッサージし合う様子に最初は衝撃を受けました。
あす香 「私が作る店なのだから、私が教えないといけない」と思ってやっています。お店を立ち上げる前は女性に性感の施術をした経験がなかったので、施術しながら多くのことを学ばせていただきました。現在は都内を中心に、大阪、名古屋、福岡にもセラピストが在籍しています。病気や他のトラブルを防ぐために「粘膜接触禁止」にしており、キスやオーラルサービスは無し、セラピストはパンツを脱がないルールです。

――女性用風俗が漫画の題材になると聞いて、どう思いましたか?
あす香 日の当たる職業ではないので、作品という形に残ることがすごく嬉しかったです。漫画を読ませていただくと、現場で起きていることそのままで驚きました。お客様を何名か水谷先生にご紹介したことはありますが、私からは施術中の出来事について、そこまで詳細にお話ししたわけではないんです。それなのに、まるで現場を見ているかのようなリアルな描写で驚きました。
女性用風俗は心や体の繊細な部分を扱う仕事ですが、先生は細かいところまで丁寧に表現されていて、すごいと思います。
――ご自身がセラピストとして施術することもあるそうですが、女性客が女性セラピストを指名するのは、どんな理由があるのでしょうか?
あす香 「夫のことは大好きだけど、セックスレスだから女性用風俗を利用したい」という方が多いです。そのため「女性セラピストが相手なら、夫に対して少しは罪悪感を抱きにくいかな」という理由で指名する方もいます。
水谷 セックスレスに悩んでいるお客様は、真面目そうな方が多いそうですね。
あす香 綺麗で仕事ができる、女子校育ちのお嬢様みたいな方が結構いらっしゃいます。お金もあるし素敵な人生を歩んでいるけど、セックスレスはなかなか解決できない。女性用風俗を利用する方全体として、そういった傾向があるかもしれません。
ご本人が「普段から夫に女として見られるように頑張っているんだけど……」とおっしゃる通り、メイクも髪型もバッチリ、下着は派手なものではなく、小花柄を着けている方が多いです。
また、「私が女性用風俗を使う理由」をノートにびっしりと書いてきて、「こういう理由があって利用したいのですが、私は間違っていませんか?」と確認する方もいました。
水谷 女性セラピストを指名する理由としては他にも、「男性セラピストから挿入をチラつかせられて嫌悪感を抱くようになった」という方がいました。女性に抱きしめられると安心感があって、「おっぱいは心の故郷」と感じたそうです(笑)。「どういう感覚なんだろう?」と思ったので、私もあす香さんにハグをしてもらったのですが、すごく柔らかくて温かくて、「女性の包容力ってすごいな」と感動しました。
――高齢女性も利用するそうですが、どんな方がくるのでしょうか。
あす香 60代の方は結構いますし、70代前半の方もいらっしゃいます。80代の方で、旦那様が奥様のために電話をかけてきたこともありました。数年前に『ちつのトリセツ 劣化はとまる』(原田純著、たつのゆりこ監修)という漫画の新聞広告が出たときは、「自分の膣はヤバいんじゃないか」という60代以上の女性からの問い合わせが増えましたね。
高齢のお客様の特徴は、「男尊女卑の時代を生き抜いた方達なんだな」と感じることです。世代的に「性的なことを口にするのはダメ」という意識が強かったり、旦那様とのセックスは、無理やり突っ込まれるような思いやりも何もない行為なので、「死ぬ前に一度は抱きしめられてみたい」という方もいらっしゃいました。
水谷 生涯独身の高齢女性で、「デイケア施設のヘルパーさんに頼んで予約してもらった」という方もいましたね。

――高齢女性に施術するときは、どんな配慮をするのでしょうか。
あす香 男性の場合は年齢が上がることで射精しにくくなることがありますが、女性の膣の状態は一人ひとり全然違うんです。若くても、膣が乾いていて全く指が入らない方もいますし、「高齢の方でも元気だな」と感じることが多いんですよ。
ある高齢のお客様に、「あす香ちゃん、自立とは欲望を満たすことよ」と言われたことがありました。そう言えるくらい、人生を切り拓くパワーがある方なんだなと感じましたね。そういうお客様は、筋肉も意外としっかりしています。
水谷 毎月1回利用を続けて、1年間少しずつ施術をしてもらったら、「膣が柔らかくふわふわになって、快感を得られるようになった」という話を聞いて、驚いたことがありました。
――高齢女性からは、どんな要望がありますか?
あす香 お気に入りのホテルや、会員になっているホテルを指定する方が多いです。セラピストについては、「なるべく自分に近い、年齢が高めの男性がいい」というリクエストが多いですね。
うちに所属している中では50代後半が最高齢で、60代、70代のお客様からの需要が非常に高いです。そのセラピストは名古屋が拠点なのですが、京都などから遠征する方も結構います。また、都内の40代後半の男性セラピストは副業がバーテンダーで話し上手なので、高齢の方にアテンドしやすいですね。でも中には「私は若い男がいいわ!」というアグレッシブな方もいらっしゃいます(笑)。
水谷 ただ、女性用風俗は一般的にはまだ知られていないと思います。私の周りの、アクティブな趣味を沢山持っている70代の女性達に「女性用風俗をテーマにした漫画を描いているんです」と話すと、「え、大変ねえ……」と皆さん絶句してしまいました(笑)。
老後の気分転換に利用してもいいんじゃないかなと私は思います。あす香さんのお店は「粘膜接触禁止」ということもあり、初心者の方がチャレンジしやすいかもしれません。
――そもそも、あす香さんが「SPA White」を立ち上げたのはなぜだったのでしょうか。
あす香 高校生のとき、「大人になったら、女性の性の悩みを聞ける人になりたい」と思うようになったんです。きっかけは、男性との性的なトラブルに遭ったことでした。
〈「女性を病ませる“メンヘラ製造機”です」利用者から長文の抗議文が届いたことも…女性用風俗でトラブルになる『男性セラピスト』の特徴〉へ続く
(水谷 緑,あす香)

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