何としても減税を阻止したい財務省が頼った「超大物議員」の名前 「両者の利害は完全に一致している」

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“タリフマン(関税男)”ことトランプ大統領が世界を翻弄する中、立憲民主党の野田佳彦代表が自民党の茂木敏充前幹事長に秋波を送っている。背景にはさまざまな思惑が……。
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【写真を見る】減税を阻止したい財務省が頼った「超大物議員」とは? “財務省の守護神”の異名も
政治部デスクが解説する。
「今月5日、野田氏は山口市で令和2年に発効した“日米貿易協定で厳しい交渉を担ったタフ・ネゴシエーターは茂木さんじゃないか。そういう人に力を貸してもらうことだ”と語った。野党のトップが与党幹部を持ち上げるのは異例です」
茂木氏は昨年の自民党総裁選で石破茂首相に惨敗して以来、非主流派に甘んじている。そこに野党第1党の党首が秋波を送る理由は、
「財務官僚が始めた“石破おろし”に呼応した動きです。野田氏は財務省のお抱えスピーカーですからね」
財務省の政治的な動きは、安倍晋三元首相の死後に出版された『安倍晋三回顧録』で、〈彼らは省益のためなら政権を倒すことも辞さない〉と指摘されている。
「財務省は石破首相が消費税の引き下げに動くとみて、すでに見切りを付けた。公明党や参院自民党が今夏の参院選での苦戦に危機感を強めているからで、彼らは食料品などの税率引き下げを強硬に求めていますよ」
石破首相は今月1日に「税率引き下げは適当ではない」と消費減税を否定していた。が、その4日後には「党との相談だ」と後退。優柔不断は相変わらずで、これが“首相は参院選の公約に消費減税を盛り込む腹だ”と、財務省の猜疑心をあおったとみられる。
与党幹部が後を引き取る。
「何としても減税を阻止したい財務省は、反石破の筆頭格で“財務省の守護神”の麻生太郎自民党最高顧問に頼った。麻生氏は“ポスト石破”に、盟友で財務省寄りの茂木氏を推しており、官僚主導の石破おろしに加担しているようだ」
麻生氏と財務省の利害は完全に一致しており、
「彼らにとって参院選で与党が過半数割れしたのち、“減税派”の国民民主党・玉木雄一郎代表が首相になるのは最悪の事態。それなら自公が立民と大連立を組んで野田氏を担ぐ方がマシだと考えているだろう。野田氏は両者の支援を期待して、“同じ穴のムジナ”の茂木氏を持ち上げたんだよ」
とはいえ、まだ自民党内にのろしが上がった形跡はない。野田氏の勇み足なのか。
「石破首相が参院選で消費減税を掲げると、対抗するには野田氏も減税に理解を示す必要が出てくる。そうなれば野田氏は、参院選で勝利して首相に返り咲いたとしても財務省には裏切者。政権運営で協力は得られない。だから野田氏は参院選前に首相に身を引かせて、茂木氏との“増税派対決”に持ち込みたいと考えている」
先の総裁選で“意外と敏充”とのキャッチフレーズが話題になった茂木氏。首相への道のりはどんな見通しか。
自民党関係者が指摘する。
「厳しい経済状況下だけに、党内外から“政権トップをすげ替えている場合か”との批判が出るのは必至で楽観はできません。トランプ大統領は“消費税も関税と見なす”と言及し、日本の輸出品が対象の輸出免税制度も批判しており、財務省内からも“一時的な消費減税はやむを得ない”との声も出始めていますから」
茂木氏は、またも“以外”で終わるのか。
「週刊新潮」2025年4月24日号 掲載

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