《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発ストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。営業停止処分防ぐ『劇場を守る会』結成」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

煌めくライトに照らされたステージで、曲に合わせて平安時代の十二単のような幾重にも重ねられた色鮮やかな和服を脱いでいく踊り子たち。気付けば胸を露出した踊り子が大きく開脚。体を伸ばしきって天井に向かって手を伸ばしピタッと動きを止めると、客席からは拍手が巻き起こった。女性を乗せた回転台が周り、客に360度の方向から美しい姿態を披露した──。
【写真】“はいていないではいているパンツ”の実物 「透けていて公然わいせつ対策になりうるか」議論の対象にも
昨年11月、公然わいせつ罪で経営者ら10人が摘発された大阪市北区のストリップ劇場「天満東洋ショー劇場」。西日本最大級と言われる同劇場は1985年に営業を開始し、地元住民のみならず国内外の観光客で賑わってきた。
「大阪・関西万博の開幕を控え、大阪府警は歓楽街の浄化作戦を行っており、昨年の東洋ショー劇場の摘発はその一環とみられています容疑は、舞台上で女性ダンサーの下半身を露出させ、客に写真等を撮影させていたというものでした。ちなみに東洋ショーは2012年にも今回と同じ容疑で摘発されています」(全国紙社会部記者)
12月7日、東洋ショー劇場は公式Xで以下のようにポストしている。
〈11月19日に検挙された公然わいせつ事件では皆様に大変ご迷惑をお掛けしました。 今回は、ショーの内容を一部修正し営業をしていく所存です。 何卒ご理解頂くと共にご指導ご鞭撻の程宜しくお願い致します〉
経営者らは罰金を支払うなどして、刑事事件としては終結している。現在は営業を再開しており、訪日外国人なども集まって立ち見が出るほどの大盛況だ。
「ただこれで事件自体が終わるわけではありません。今後は今回の摘発を理由に、大阪府による行政処分が下されるでしょう。前例を踏まえると、数か月単位の営業停止処分が見込まれています。それが万博期間中と重なれば、捜査当局の浄化作戦が功を奏した形になりますね」(前出・全国紙社会部記者)
摘発によって地元では安心の声が広がっているかと思いきや、どうやらそうではないようだ。なんと行政処分の免除を求めて地元住民らが「東洋ショー劇場を守る会」を結成し、署名活動を行っているというのだ。守る会の担当者が話す。
「ストリップは決して性的なだけのいかがわしいものではありません。踊り子さん達は、とても大変な練習を重ねて、ダンスを通してご自身を表現している。芸術作品なんです。そして、東洋ショーは天満の繁華街一帯のナイトタイムエコノミーの重要なエンターテイメント施設として、地域経済の一翼を担っています。多いときにはお客さんの3分の1が訪日外国人ということもありますね。
なのでオンラインや全国のストリップファンからの署名は2500件以上集まっているほか、近隣店舗の飲食店などの嘆願書の直筆署名も190件以上は集まっています」
しかし“公然わいせつ”は引き続き行われているのではないだろうか、という疑問についてはこう続けた。
「摘発の後、劇場は大きく変わりました。最も大きな変化は『はいているのに、はいていないように見えるパンツ』です。ストッキングのような透ける布地の下着です。はいていないように見えるのですが、確かにはいています」

公式Xで劇場が投稿した「ショーの内容を一部修正し営業をしていく」というのは、踊り子の“はいていないように見えるパンツ”のことのようだ。劇場から出てきた男性常連客に話を聞くと、残念そうな顔でこう語った。
「和物の演目においては、下着をはいているのはやっぱ不自然やで。芸術的な視点でも、違和感は正直ある。一見さんはこんなもんか、と思ってしまうんちゃうかな……。ただ、ワシら常連は変わらへんで。東洋ショーには客同士や踊り子さん、劇場のコミュニティーがある。この程度で、その絆は壊れませんわ」
常連客は劇場を応援しているようだ。別の高齢の男性常連客もこうエールを送った。
「前は完全に裸やったけど、今回の変更はしゃあない思うわ。見えても見えんでもええんや。踊りも綺麗やろ。十分やで!」
風俗営業をとっているストリップ劇場は、合法の娯楽施設だ。風営法でストリップ劇場は、「当該舞台において、客に、その性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態又はその姿態及びその映像を見せる興行の用に供する興行場」と定義されており、服を脱ぐことも許容されているのだ。
ただ、踊り子が多数の客の前で、服を脱いで全裸となるため、公然わいせつ罪が成立しうるという矛盾をはらんだ状態にあるともいえる。それゆえ、摘発のいかんは警察当局に委ねられているのが実情だ。
「ストリップ劇場を警察が摘発する場合には、普段摘発していないこととの帳尻をあわせるためにも特に“過激なサービス” を行っている店舗が見せしめになります。東洋ショー劇場の摘発は踊り子の局部をライトで照らすなどして強調したり、客に露出した下半身の写真を撮らせていたことが悪質だとされ、問題視されました」(前出・全国紙社会部記者)
そこで営業を再開した東洋ショー劇場が対策として打ち出したのが、“はいているけど、はいていないように見えるパンツ”なのだ。
万博が始まり、さらに訪日外国人が増えている大阪。天満のストリップ劇場は安心して営業を続けられるのか。今後の動向が注目される。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。