「反抗期ない」若者増加か 専門家「親の考え方のゴリ押しが減少」SNSで発散する『隠れ反抗期』に注意

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10~15歳のいわゆる「思春期」に起こるとされる「反抗期」。メ~テレの番組が行った調査では「反抗期が無かった」という若者が半数近いという結果に。イマドキの「反抗期」事情、その背景について取材しました。
愛知県名古屋市に住む女性、中学1年の長男が反抗期の真っただ中だそうです。 幼いころは素直に言うことを聞いていたという息子さん、中学に入ってからことあるごとに反発するように。 「行動が遅いので、指摘すると『うるせぇ』と暴言が返ってきたり、ずっとスマホを触っているので注意すると『うるせぇ』と…。よく暴言を吐かれています。ビックリというか…『クソババア』とか言われると、どうしちゃったのかなって思うんですけど」(反抗期の子の母親) 「本当はこんなことで怒っちゃいけないとは思っているけど、ちょっとしたことで怒っちゃう」(息子)
自分でも理由のつかない感情に振り回される反抗期は、なぜ起こるのか。 臨床心理学が専門で、親子関係などを研究する京都女子大学の正木大貴教授に伺いました。 「親子でも、別個の人間なので考え方や価値観は違うはずです。徐々に成長とともに自分なりの考え方・価値観が生まれてくると、ズレを感じて親子の間でもすれ違いや摩擦が起こると。それが、派手になって表に出てきた形が『反抗』、そういう時期が反抗期に集まってくるということだと思います」(京都女子大学 正木大貴 教授)
10~15歳のいわゆる「思春期」に起こるとされる「反抗期」。 その実情を探るため、アップ!では、この地方の大学生などを対象にアンケートを実施。 なんと、回答してくれた57人の内、約半数が「反抗期がなかった」と答えていました。 増えている「反抗期のない子ども」、その理由には2パターンあるといいます。 「反抗期の反抗期のない子どもは少しずつ増えているなと印象はあります。まず一つは、子どもが親に対して反抗する必要がない、シンプルですが。反抗する必要がなければ反抗期がないという状態になりますし」 「もう一つは反抗したくても、親のコントロールや押さえつける力が強いと反抗できない反抗したくても出来ない」(京都女子大学 正木大貴 教授)
「子どもに対して単純に理解のある親が増えてきた、というのが一つあると思います。それとか、親の考え方を子どもにゴリ押しする親が減ってきたというのもあると思います」(京都女子大学 正木大貴 教授) 岐阜県多治見市に住む荒井さん親子。 就職活動中の娘さんも「反抗期がなかった」という若者の一人です。 「娘が思春期の頃は同じ趣味があったので、宝塚なんですけど、同じ趣味の人がまわりにいなくて、お互い一緒に見に行くしかなくて話は合っていました」(母:荒井園恵さん) 「何を話しても大丈夫、否定されない自信がある関係性だったので、なんでも話していました。現にそんなに否定されたこともないので」(娘:荒井美沙季さん) 一人っ子の娘さんにとって、飽きずに遊んでくれる友達のようだったというお母さん。 受験や就活など人生の大きな決断をする時にも、決して否定せず背中を押してくれたといいます。 「以前はある程度画一的な価値観があって、『こういう生き方をすれば幸せになれる』『幸せな人生を送れる』といった、皆が信じ共有できるような価値観がなんとなくはあったんですけど、最近は『生き方も多様でいい』『色んな価値観があっていい』それを良しとする背景がありますので。子どもの意見も尊重して、それが多様性だという理解が深まってきたという背景があると思います」(京都女子大学 正木大貴 教授) 一方、お父さんとの関係について娘さんは、「小さい頃は父親の言いなりになってた。自分の意思がないまま」と言います。
正木教授によると、反抗期がない2つ目のパターンが「親が高圧的だったり、過干渉だったりして反抗できない」ケースだと言います。 アンケートの回答でも「反抗期がなかった」理由として「親が自由にやらせてくれた」など肯定的に答える人と「言うと怒鳴られるから」「管理されていて反抗する手段がなかった」と答える人に二極化。 正木教授は、「反抗したくても出来ない」パターンは、大人になったときに、どこかで爆発してしまう可能性もあると話します。 「大人になると反抗期のようにワガママに振舞える時期ではないので、家族だけではなく社会の人たちの中で軋轢を生んでしまうことも。反抗期の有無が良い悪いではなくて、親子間のごく普通の人間関係の中で、コミュニケーションが適度に取れているかという方が重要だと思います」(京都女子大学 正木大貴 教授)
さらに、一見「反抗期が無い」ように見える「隠れ反抗期」パターンについて指摘する専門家もいます。 元中学校教師の子育てアドバイザー・道山ケイさん、いままで1万組以上の親子をサポートしてきました。 「小さいころから優等生で育ってきた子は、親に対して優等生でいなければいけないんですよ。親が『こうしない』と言ったら、素直に聞くのが優等生ですよね。でも子どもが『右に行きたい』のに親が『左に行け』と言って、仕方なく行っている場合、子どもはずっと苦しくなります。発散をしないといけない、だからSNSで悪口を描いて発散して、でも家の中では優等生というパターンがあります」(子育てアドバイザー 道山ケイさん) 今までは、反抗期のストレスを家出や外での非行など、家の外で発散するケースが一定数あったのに対し、ネットやスマホが発達したことで、SNSやゲームなどの世界で発散する例が増えているといいます。 ネットやSNSと密接に関係した『隠れ反抗期』、親はどう気付けばいいのか聞きました。 「子どものSNSアカウントをチェックまではしなくていいんですけど、何かあったときに、すぐ相談してもらえる親子関係を作ったり、友達のお母さんや学校の先生たちとしっかり連携を取っておく。例えばSNSのいじめで発散しているとしたら、参加している他の子の母親と仲が良ければ教えてくれるんですよ。そこと常に連携して子どもを見守っていくのがすごく大事です」(子育てアドバイザー 道山ケイさん) (11月17日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』鈴木しおりの一歩前へより)

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