昨年末より、東海道・山陽新幹線の一部の列車で女性専用トイレの設置がスタートした。これによって、男女共用トイレの男性利用者のマナーの悪さが浮き彫りになっているという。
【画像】意外と知らない? 新幹線のトイレの「便座」ボタン
東海道・山陽新幹線にはもともと、奇数号車に男女共用トイレを2か所ずつ設置していたが、今回の改正でその半分を女性専用トイレに変更する。これに対して、女性専用トイレを設置すること自体には賛成の声が多いものの、それならば男性専用トイレを作るべきだとの意見もあがっている。
JR東海の広報部に女性専用トイレを設置した理由を聞いてみると、「女性のご利用の割合が増加しており、利便性、快適性確保の観点から女性専用トイレを設置するに至りました」とのことであった。
また、男性専用トイレを導入する予定については、男性専用の小便器が既に車内に設置してあるため、今後男性専用トイレを新たに車内で設置する予定はないという。
しかし一方で、「新幹線ユーザープロファイル調査2021」を見ると、新幹線利用者の男女比はおおよそ8:2で、男性のほうが圧倒的に多いことがわかる。今回の施策で、男性が使用できる個室トイレが半分になってしまうと考えると、確かに男性ユーザーから不満が出るのも無理はないかもしれない。
そんな中、2月15日にXにて、新幹線のトイレの写真を投稿しながら、〈新幹線に女性専用トイレが登場。 これはマジでありがたい。 男性女性兼用トイレ意味わからんくらいべっちゃべちゃだったw〉とつづったポストが大きな注目を集めた。
写真を見ると、女性専用トイレがキレイに整っている一方で、男女共用トイレはその床がびしょびしょになっている。
その理由として考えられるのが、男女共用トイレで立ったまま排尿する男性の存在だ。洋式トイレで立ったまま用を足すと、小便の跳ね返りでトイレ全体が汚れてしまうことがあるが、まさにその出来事が新幹線の男女共用トイレで起きている。
男女共用トイレで立って用をすることに対しては、女性からだけではなく、座り派の男性からも批判の声が相次いでいる。
〈立って小便するやつ男からしてもマジ迷惑〉
〈洋式は全て「座ってする人専用」にしてほしい。新幹線には男性用小便器ついてるんだから、立ってしたい人はそっち行けばいい〉
〈座ってする男からすると、男女で分けるんじゃなくて、立ってするか座ってするかで分けてほしい〉
〈女子トイレのことはわからんが、男は使い方汚いからね。新幹線とは関係ないが、個室の洋式便器で便座上げずに立ち小便するやつと床をベタベタにするやつを何とかしてくれ〉
実際に洋式トイレで立ったまま用を足す人はどれくらいいるのだろうか。一般社団法人日本排尿機能学会が2024年11月に「排尿姿勢に関する疫学調査の集計結果」を発表している。
自宅のトイレで座って排尿すると答えた男性は、年齢が若いほど多い。20代は69%、30代は66%、40代は57%、50代は54%、60代は52%、70代は50%、80代は47%、90代は37%となっていた。
また、どの年代でも既婚者のほうが独身よりも座って排尿している割合が高く、パートナーへの配慮などから座っていることがわかった。
この結果を踏まえて、「新幹線ユーザープロファイル調査2021」を見てみると、新幹線利用客の割合は、40代~60代男性だけで半数以上を占めている。つまり、利用客の約半数が立ったままトイレで排尿する派なのだ。新幹線は自宅とは違って揺れもあることから、立ったまま排尿するのは周りを汚してしまうリスクが高い。男女共用トイレが汚い理由がなんとなく見えてくるような気がする。
そこでJR東海に、「新幹線のトイレは座って排尿することを推奨しているか?」と聞いてみたが、「すべてのお客様が快適にご利用いただけるよう、周囲へのご配慮をお願いいたします」との回答があるのみで、排尿時の姿勢に関する明確な答えはなかった。
さまざまな議論は尽きないが、女性専用トイレの導入によってひとまず、女性のトイレの清潔さはある程度保たれることになっただろう。
なお、女性専用トイレに入ってみると、便座が上がっていることがあるため、「もしや男性が使ったのでは?」と怖がっているポストをSNS散見したが、新幹線のトイレは洗浄後に自動的に便座が上がるシステム。これは男女共用トイレでも同じなので、便座が上がっているからといって、前に使用した人が立ったまま排尿したとは限らない。
ただこのシステム自体、立ったまま排尿する男性のために作られたシステムでもあるので、新幹線のトイレはある意味、立ったままを推奨しているようにも思える。女性にとっても、座り派の男性にとっても、もっと快適にトイレを利用できる環境が整えられてほしい。
取材・文/集英社オンライン編集部