【山本 昌義】年収300万円、32歳の「マザコン娘」の末路…娘を溺愛するあまり「ソフト毒親」化した母の後悔

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前編「32歳「マザコン娘」婚活の衝撃…娘を溺愛し「彼氏をダメ出しし続けた」母親が直面したあまりにも厳しい現実」でもお伝えした通り、一般的にマザコンというと男性がイメージされますが、女性のマザコンも少なくありません。そしてマザコンは基本的に程度問題であり、けして悪ではないのですが、第三者からの評価は厳しいことも珍しくないのが実情です。
実際、結婚相手がマザコンならどう感じるでしょうか? 親として、わが子がマザコンの気質がある方を結婚相手として連れてきたら、どう思うでしょうか? マザコンの気質は、程度や場合によっては、仕事などにも悪影響が出ることもある点に注意が必要です。
マザコンの気質は程度とともに親子の関わり方も様々ですから、何が正解で何が不正解かが客観的に判断しにくいのですが、まずは何に影響を受けているのか、そしてそれがどの程度問題を深刻化させているかなどを見渡した上で、影響力の強い親が子どもの立ち位置を理解することが大切だといえます。
そのうえで、ダメなことはダメだと自身に言い聞かせながら、わが子にも教えていきましょう。
藤井清美さんは57歳のパート主婦です。同い年の会社員の夫と、32歳になる会社員の萌美さんと3人で暮らしていました。
萌美さんは、20代の頃は何度か彼氏を自宅に連れてきて、その都度、清美さんが娘に相応しくないと別れさせてきたものの、最近では一向に彼氏を連れてきません。
そこで清美さんの勧めもあって萌美さんは婚活パーティに参加するようになりましたが、どういうわけかロクな出会いがなかったのです。そのような結果報告を聞くたびに萌美さんを励ましていたのですが、清美さんは段々と不安になっていきました。
清美さんはかなり戸惑っていたといいます。なぜならモテるはずの萌美さんが婚活を始め、3年経っても結婚どころか交際相手すら見つけられずにいたためです。このタイミングで夫が定年を迎えたこともあり、先々の心配も強まった清美さんは35歳になった萌美さんを結婚相談所に入れたのですが、結果は惨敗。
と言うのも確かに出会う数は増えたものの、紹介される方は皆、清美さんが出した「年収700万円以上、手堅い職業で、結婚後は自宅近くに住まいを持つ」と言う条件にすら届かない、いわゆる低年収の低スぺ男性ばかり。
それでも底スペックな男性も含めて何人かとお見合いをしてみたものの、毎回、萌美さんは相手からお断りされる始末。萌美さんからそんな結果報告を聞かされる度に、清美さんは段々と結婚相談所に怒りが湧いてきたといいます。
ある日、いてもたってもいられず清美さんは一人で結婚相談所に乗り込み、どういうことかと怒りをぶちまけたそうです。しかし返ってきた返答は、あまりに清美さんの想像とは違ったものでした。
相談所から見れば、萌美さんは市場価値が極めて乏しいことを説明されたのです。何より、先々のことや次のデートの話題の時、頻繁に「お母さんに聞いてから考える」「お母さんに相談してから決める」などと対応し、そのマザコン気質に男性が呆れてしまっていることを聞かされたといいます。
アドバイザーが何度指摘しても直らず、清美さん自身が娘がマザコンで、これが結婚を遠のかせる原因なのだと、この時に初めて知ったのでした。
しかし今さら、清美さんは萌美さんへの態度を変えられず、萌美さんもその後も同じ失敗を重ねてしまいます。お相手が決まらないまま萌美さんの年齢も40歳に迫り、ついに清美さんは大きく方針転換。
「昔は忘れて、今出会える一番良い男性にしなさい!」と伝えました。そして萌美さんは、41歳で年収400万円の男性とのお見合いに挑んだのです。
しかしそのお見合いの結果も惨敗。事前に清美さんは心を鬼にして「私に相談しようとせず、自分で決めなさい」と伝えていたのですが、長年に渡って染み込んだ相談グセはすぐには直せなかったといいます。結局その後も萌美さんが変わることはありませんでした。
そして、悪いことは重なるものです。この頃、萌美さんは実質的に会社をクビになってしまいます。
元々、萌美さんには責任感や協調性、そして成長する気持ちも乏しく、その中で会社の業績悪化が重なり人員削減のためのリストラにあったそうです。今にして思えばこれもマザコン気質が原因だったのかと、清美さんは胸が締め付けられる思いだったといいます。
現在、萌美さんはすでに40代です。結局その後も結婚はできず、また転職活動もうまくいかず、今は派遣社員としてどうにか働いているといいます。しかし萌美さんは相変わらず母親になんでも相談しなければ行動ができず、清美さんは将来を考えると不安しかないとのことでした。
「私は子育てを失敗したと思います。でも何がダメだったのか、未だによく分かりません。ただ私は娘を大事に育ててきただけなのに…。娘はこれから、どうなるのでしょうか…」
せめて今からでも、親離れ・子離れできることを願っております。
本件は、やはり清美さんが残念でした。
まず一つ挙げるなら、やはり延々と子離れしなかった、子供と関わり過ぎた…という点でしょう。その結果、萌美さんはいつまでも自身のことを「庇護されるべき子供」と考え、大人として成長できず、婚活においても仕事においても立派な大人だと周囲に認識されなかったように思います。
また、その関わり方も問題です。何でも話し、相談してくれる…ここまでならともかく、最終的な決定まで母親任せは行きすぎかと思います。母親としては嬉しいかもしれませんが、子供を思うなら、子供にも考えさせ、決めさせ、それを応援することも必要なことだったかと。
親と子なら、どうしても基本的に親の方が先にこの世を去りますから、いつかはイヤでも子供は巣立つ必要が出てきます。その時に巣立つ力が、一人で生きていける力がなければ生きてはいけません。どうせなら親が存命のうちに、相応にサポートできるうちに、巣立たせてみることも大事かと思います。
そして、やはり萌美さんも問題です。親は人生の最後まで保護してくれるわけではなく、いつかは巣立ちが必要になります。冷静に考えれば当たり前なはずなのですが、都合の悪い事実から目を背けていても、現実からは逃げられない点に注意しましょう。
また、けして親は絶対的に正しい存在ではありません。何かアドバイスや教えをもらっても、間違っていることはよくあります。最終的に間違っていても、その責任など取れない、取ってくれないのが基本です。
そして社会は親ほど優しくありません。婚活や仕事では尚更ですし、若さがなくなればさらに、です。たとえ十分に成長できていなくても許されませんし、それどころか「〇歳になってこんなことも分からないの?」と見られることもよくあります。
しかしそれでも人間は若返れない以上、何歳になっても気づいた時が出発点です。たとえ今さらでも、今から改めてがんばっていくしかありません。自分の味方である親が存命のうちに、不十分でもサポートが受けられるうちに、改めて巣立ちの力を養っていきましょう。
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