伊藤詩織氏 アカデミー賞候補の監督作品で無断使用疑い 弁護士の指摘にも「使用します」

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ジャーナリストの伊藤詩織氏が監督を務めた映画「Black Box Diaries」が米アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門にノミネートされ、3月の授賞式を待つばかりとなっている。そんな注目の映画に映像や音声の無断使用が指摘されている。それらの修正を求めているのはかつて伊藤氏とともに裁判を戦った弁護士たちというから驚きだ。
同映画は2015年に伊藤氏が元TBS記者から受けた性的暴行被害とどう戦ってきたかを記録したドキュメンタリー作品。すでに50以上の映画祭で上映され、20近くの賞も受賞、多くの国と地域で配給されることも決まっているという。ところが、日本での公開は未定なのだ。
20日、伊藤氏が元TBS記者から性的暴行被害を受けた件の民事訴訟を担当した西廣陽子弁護士と角田由紀子弁護士、そして杉田水脈元衆院議員に対する損害賠償請求訴訟を担当した佃克彦弁護士の3人が都内の日本外国特派員協会で会見。映画の問題点を指摘した。
映画には現場ホテルの防犯カメラの映像がホテルの許諾なしで使用されていることや、捜査官とタクシードライバー、弁護士らの映像や音声が無断使用されているという。弁護士らはそれらの部分について修正することを伊藤氏に求めている。
一方、伊藤氏も同日に同じ場所で会見をする予定だったが体調不良でキャンセル。代わりに文書で無断使用を謝罪し、修正を加えるとした。
しかし、防犯カメラに映っていた加害者と自身の動きの部分については、「一切変えることはできませんでした。それは事実をねじ曲げる行為だからです」と主張。ホテルの承諾は得られていないものの、「これに対してはさまざまな批判があって当然だと思います。それでも私は、公益性を重視し、この映画で使用することを決めました」と訴えた。
元弁護士らが望むレベルの修正とはならなそうだが、結局、この映画はいい映画なのか。映画をすでに見たという人は「いいというか迫力があった。なぜなら通常なら見られない映像があるから」と評価した。
伊藤氏は映画を撮るにあたって主役と監督を兼ねている。必然的に映画に必要な情報や素材は裁判の当事者である伊藤氏に集まるようになっていた。集まった素材の中には防犯カメラの映像のように許諾なしには使用できないものも多くあったはずだ。
映画監督としての伊藤氏の対応に注目が集まっている。

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