女性に演技レッスン勧誘「19歳は成人だ、1人で決めろ」と迫り契約…逮捕の芸能プロ社長

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架空のオーディションに合格したとかたってレッスン契約を勧誘したなどとして、愛知県警に10月下旬に特定商取引法違反容疑で逮捕された男2人は、「19歳は成人だ」などと言って女子学生に契約を迫っていた。
今年4月に成人年齢が18歳に引き下げられて以降も、18~19歳からの消費者相談の件数はほぼ前年並みで推移しているが、県などは「今後相談が増える可能性もあり、引き続き注意喚起していきたい」と警戒している。(万屋直、西沢由華)
■架空の映画出演を打診
芸能プロダクション「スリーファイブプロモーション」社長の男(57)(愛知県南知多町)ら2人は今年5月、名古屋市内の事務所で女子専門学生(19)に架空の映画出演を打診した上、出演のためのオーディションに合格したかのように装って演技レッスンの契約を勧誘するなどした疑いで、10月26日に同法違反容疑で県警に逮捕された。
県警によると、男らは「家族に相談したい」と断った女性に、「19歳は成人だ。相談せず一人で決めろ」などと迫り、契約に応じさせたという。県警は「成人年齢の引き下げを意識して、勧誘していた可能性がある」(幹部)とみており、芸能界に興味のある多数の若者に同様の勧誘をしていたとみて捜査を続けている。
■SNSがきっかけ
今年4月の改正民法の施行に伴い、成人年齢が18歳に引き下げられ、18~19歳でも保護者の同意を得ない契約が可能になった。施行前まで認められていた未成年であることを理由に契約を取り消せる権利の行使ができなくなり、各自治体の消費生活センターなどはトラブル防止に向けて、悪質業者に注意するよう施行前から呼びかけを続けてきた。
県によると、今年4~9月の半年間に県消費生活総合センターに寄せられた18~19歳の契約などを巡る相談件数は277件(前年同期281件)。また、国民生活センターへの相談も4797件(同4801件)とほぼ横ばいで、国民生活センターの担当者は「懸念された増加の傾向は見られていない。事前の注意喚起や事業者の丁寧な対応が奏功したのではないか」とみている。
この間に国民生活センターに寄せられた契約トラブルの相談では、「脱毛エステ」が663件で最多を占め、「出会い系サイト・アプリ」が233件で続いた。若年層はSNSの投稿や広告をきっかけとして契約トラブルに発展するケースが多く、担当者は「取引の経験などが乏しい若者をターゲットにする悪質な業者もいる。今後、相談や被害が増える恐れもあるので、引き続き注意を呼びかけたい」と話している。
民法改正による成人年齢引き下げのポイント
【18歳からできるようになったこと】
・ローンやクレジットカードなどの契約
・医師や公認会計士などの国家資格の取得
・結婚(女性は16歳以上だったが改正で男女統一)
【引き続き20歳までできないこと】
・飲酒や喫煙
・競馬、競輪などの公営ギャンブル

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