キムタク登場「ぎふ信長まつり」はチケットなしの方がよく見えた? 観覧席当選まではラッキーだったのに

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11月6日、JR岐阜駅前の金華橋通りで3年ぶりに行われた「ぎふ信長まつり」。普段ならば地域ニュース扱い、良くても全国ニュースの埋め草くらいの扱いだったであろうお祭りが大々的に注目されるようになったのは、言うまでもなく「キムタク」効果によるものだ。
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【写真を見る】キムタクと共に騎馬武者に扮したのは地元出身のあの「イケメン俳優」 あなたはどちら推し? 映画「レジェンド&バタフライ」のプロモーションをかねて、木村拓哉(50)や伊藤英明(47)らが騎馬武者行列に参加することが決定して以来、この祭りが全国的な注目を集めることになったのはご存じの通り。

「ぎふ信長まつり」の騎馬武者行列 懸念された事故などもなく無事に終わったのは何よりだったが、取材陣ではなく観客の目線で見ると、なんとなく割り切れない思いを抱く人もいたようで――。岐阜市の人口を超える見物客が集結! 当日の様子を振り返ってみよう。 会場近くにある「金(こがね)神社」はお参りするとお金がたまると人気の神社だが、この日ばかりは参拝客の姿も少なめで、集まった人の視線は一様に沿道の方に注がれていた。 現場の熱狂ぶりはすさまじく、集まった大群衆は、その数なんと46万人! 岐阜市の人口が約40万人なので、人口を超える見物客が駅前に大集結した計算になる。 その証拠に、地元の見物客らは口々に、「いままで生きてきて岐阜にこんなに人が集まったのは初めて」 と話していた。「ああ、心拍数、上がってきたー」 集まった見物客の多くが、信長に扮し騎馬武者行列に参加した木村拓哉目当てだったわけだから、その人気ぶりたるや。 はるばる福井から来た40代の女性は、木村の姿が近づいてくると「来た、来たあー、ああ、心拍数、上がってきたー」 とこちらが心配なくらいの興奮ぶりだった。 しかしそれも無理はない。確かに、さすがはキムタク。信長に扮して騎馬に乗る姿は様になっており、お世辞抜きにカッコいい。「プラチナチケット」を巡り繰り広げられた争奪戦 苛烈を極めたのがチケット争奪戦だった。 市が用意した1万5千席の観覧席に対して96万6555人の応募が集まり、プラチナチケットとなった。当選者は相当ラッキーだったといえる。 この観覧チケットは、当選した本人に加え3人までの同伴が認められたことから、余った“参加権利”をオークションサイトに出品する不届き者まで現れた。 争奪戦はぎりぎりまで続き、行列当日を迎えた。 チケットを巡る争奪戦はその時点で雌雄はすでに決したかと思われたのだが、意外なことに、“勝者”のはずだった観覧席からはブーイングが噴出していた。「観覧席」とはいうが、席とは名ばかりの立ち見。そのため身長が低い人は「何も見えない」という事態が発生していたのだ。 しかもフェンスに囲まれた「籠の鳥」状態で、騎馬行列が見える位置まで移動することもままならない。 総立ちのアリーナ席で目の前に身長が高い人が並んでいるので見えるのは背中ばかり、というのと同じような状況になったわけである。「チケットなしの方がよく見えるのでは」 もちろん、身長に配慮して席を割り振るなどは現実的ではないだろう。 しかし、“敗者”だったはずの「チケットはずれ組」の方からは意外な喜びの声が聞こえてきた。 というのも、当初、沿道での観覧は禁じられていたのだが、市側が「臨機応変に対応した」(「信長まつり」事務局)ため、自由に動き回って閲覧することが可能になったのだ。つまり目の前に身長が高い人がいるなどの障壁があった場合、自分で視界が開けたところを探して動くことができたわけである。 そのため「観覧席」にいる見物客からは、「チケットなしの方がよく見えるのでは」と不満の声が続出したのだ。 とはいえ、大群衆といえばソウル・梨泰院で痛ましい事故が起きたばかり。仮に観衆がみな自由に動けたら、どういう事態になったかはわからない。 幸い、警察がDJポリスを配置するなど500人態勢で警備にあたったこともあり、「信長まつり」は無事に幕を閉じることができた。 よく見えなかった方も、その場でキムタクと同じ空気を吸えたとでも思って納得するしかないというところだろうか。 ちなみに、来年の「信長まつり」には、キムタクが現れる予定はない。 岐阜市民は来年のいま頃、今回の争奪戦を懐かしく思い出すことだろう。比較されること必至である次の信長公役にはなかなかのプレッシャーがかかるかもしれない。【全17枚】当日の様子が詳細にわかる「ぎふ信長まつり」ギャラリー 木村拓哉や伊藤英明らが騎馬武者行列に参加したことで、「ぎふ信長まつり」は例年にない賑わいを見せた。当日の様子を写真で振り返る。「週刊新潮」2022年11月17日号 掲載
映画「レジェンド&バタフライ」のプロモーションをかねて、木村拓哉(50)や伊藤英明(47)らが騎馬武者行列に参加することが決定して以来、この祭りが全国的な注目を集めることになったのはご存じの通り。
懸念された事故などもなく無事に終わったのは何よりだったが、取材陣ではなく観客の目線で見ると、なんとなく割り切れない思いを抱く人もいたようで――。
当日の様子を振り返ってみよう。
会場近くにある「金(こがね)神社」はお参りするとお金がたまると人気の神社だが、この日ばかりは参拝客の姿も少なめで、集まった人の視線は一様に沿道の方に注がれていた。
現場の熱狂ぶりはすさまじく、集まった大群衆は、その数なんと46万人!
岐阜市の人口が約40万人なので、人口を超える見物客が駅前に大集結した計算になる。
その証拠に、地元の見物客らは口々に、
「いままで生きてきて岐阜にこんなに人が集まったのは初めて」
と話していた。
集まった見物客の多くが、信長に扮し騎馬武者行列に参加した木村拓哉目当てだったわけだから、その人気ぶりたるや。
はるばる福井から来た40代の女性は、木村の姿が近づいてくると
「来た、来たあー、ああ、心拍数、上がってきたー」
とこちらが心配なくらいの興奮ぶりだった。
しかしそれも無理はない。確かに、さすがはキムタク。信長に扮して騎馬に乗る姿は様になっており、お世辞抜きにカッコいい。
苛烈を極めたのがチケット争奪戦だった。
市が用意した1万5千席の観覧席に対して96万6555人の応募が集まり、プラチナチケットとなった。当選者は相当ラッキーだったといえる。
この観覧チケットは、当選した本人に加え3人までの同伴が認められたことから、余った“参加権利”をオークションサイトに出品する不届き者まで現れた。
争奪戦はぎりぎりまで続き、行列当日を迎えた。
チケットを巡る争奪戦はその時点で雌雄はすでに決したかと思われたのだが、意外なことに、“勝者”のはずだった観覧席からはブーイングが噴出していた。
「観覧席」とはいうが、席とは名ばかりの立ち見。そのため身長が低い人は「何も見えない」という事態が発生していたのだ。
しかもフェンスに囲まれた「籠の鳥」状態で、騎馬行列が見える位置まで移動することもままならない。
総立ちのアリーナ席で目の前に身長が高い人が並んでいるので見えるのは背中ばかり、というのと同じような状況になったわけである。
もちろん、身長に配慮して席を割り振るなどは現実的ではないだろう。
しかし、“敗者”だったはずの「チケットはずれ組」の方からは意外な喜びの声が聞こえてきた。
というのも、当初、沿道での観覧は禁じられていたのだが、市側が「臨機応変に対応した」(「信長まつり」事務局)ため、自由に動き回って閲覧することが可能になったのだ。つまり目の前に身長が高い人がいるなどの障壁があった場合、自分で視界が開けたところを探して動くことができたわけである。
そのため「観覧席」にいる見物客からは、
「チケットなしの方がよく見えるのでは」と不満の声が続出したのだ。
とはいえ、大群衆といえばソウル・梨泰院で痛ましい事故が起きたばかり。仮に観衆がみな自由に動けたら、どういう事態になったかはわからない。
幸い、警察がDJポリスを配置するなど500人態勢で警備にあたったこともあり、「信長まつり」は無事に幕を閉じることができた。
よく見えなかった方も、その場でキムタクと同じ空気を吸えたとでも思って納得するしかないというところだろうか。
ちなみに、来年の「信長まつり」には、キムタクが現れる予定はない。
岐阜市民は来年のいま頃、今回の争奪戦を懐かしく思い出すことだろう。比較されること必至である次の信長公役にはなかなかのプレッシャーがかかるかもしれない。
木村拓哉や伊藤英明らが騎馬武者行列に参加したことで、「ぎふ信長まつり」は例年にない賑わいを見せた。当日の様子を写真で振り返る。
「週刊新潮」2022年11月17日号 掲載

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