「女性だから、年下だからと軽率に見ていた」13歳少女と性行為した特定少年に実刑判決

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13歳の少女(以下「A」)に対して性行為を行ったなどとして、大阪地裁は2024年11月、不同意性交等などに問われた男性に対し、懲役3年(求刑:懲役5年)の実刑判決を下した。
事件当時、被告人は特定少年(18~19歳)だったが、少年時の同種性犯罪による前歴もあった。被害者となったAは公判で「自分は被告人のことを好きだったが、被告人は私のことを性欲の対象として見ていなかったと思う」と供述するなど、歪な関係性が明らかになった。(裁判ライター・普通)
起訴状によると、被告人はAが13歳であることを知りながら、(1)自慰行為の撮影を指示し、その動画の送信を要求した、(2)カラオケボックス内で性交をした、という疑いで起訴された。
(1)は、2023年7月13日に施行された「16歳未満の者に対する映像送信要求(刑法182条3項)」に該当し得る。同条には、わいせつ目的で相手を威迫や金銭を供与するなどして会うことを強要する「16歳未満の者に対する面会要求」も規定されている。
法廷で取り調べられた証拠によると、被告人とAはゲームアプリの配信で知り合った。初めて会った日に、公園のトイレで性交をした。Aは避妊具を用意していたが、被告人は使うことはなく、性交はこの1回だけではなかったようだ。
Aは被告人に好意を抱いていた。自慰行為の映像も被告人に嫌われたくない思いで送信した。妊娠した場合に備えて、被告人の本名を聞こうとするも、名前を伝えられることはなかった。
一方で、被告人は「ワンナイトの相手を探していた」と取調べで供述した。その他にも、「Aのことは彼女でなく、セフレと思っていた」「映像はセフレだから送らせた、彼女だったらしない」などとも供述している。
弁護側の情状証人として、被告人の母親が出廷した。事件当時、被告人は通学のため親元を離れて生活していた。母親は少年時の事件も当然知っているため、保護司にサポートを依頼していたが、状況確認の連絡を取ることはなかったという。
事件の原因について、母親は「犯罪の意識のなさ」を挙げた。人の気持ちを理解するのが苦手で、相手が嫌がっていてもその行為を続ける傾向があると話した。
その上で、少年時の事件後には、強く指導を行っていたと証言した。相手の同意や、正式に交際をしていないと行為に及んではいけないなどと伝えていたという。
検察官「ワンナイトの関係についての指導は」母 親「それは、交際に含まれませんので」
検察官「では、被告人は指導を守らなかったということですか」母 親「そうです」
検察官「なぜ聞き入れないのか心当たりはありますか」母 親「ないです。本人の意識の問題かと」
今後は実家に呼び戻し監督することを誓約した。しかし、更生のための具体的な案はなく、なにより母親自身に手立てが浮かばなかったようで、困惑している様子をみせていた。
被告人は、弁護人からの被告人質問で、Aとはあくまで合意を得ていたと主張。その上で、年齢も把握しており、犯罪であることも認識していたという。
弁護人「合意はどのようにして確認を」被告人「SNSのDM(ダイレクトメッセージ)でセックスフレンドの関係となることを確認しました」
弁護人「会ってから確認はしましたか」被告人「確認しました」
弁護人「相手は13歳で年下ですが、抵抗はなかったのですか」被告人「不安があったので、DMだけでなく、会った際にも確認しました」
セフレ関係の合意について供述する被告人。13歳の少女と性的関係を持つ抵抗感があるようにはうかがえなかった。
事件当時の精神状態については、過去に受けたといういじめの経験を挙げた。小学生、中学生のとき、怒られたり、いじめられるのが当たり前の環境だった。そこで自分では考えることを止め、相手に合わせることで自分を保ってきたという。
被告人に好意的なAに合わせた一連の行為だったということだろうか。しかし、過去の事件も含め、性的事件を繰り返すことの原因については明確な答えは出てこなかった。
検察官からの質問では、Aとのやりとりについて追及された。
当初は、Aに近い年齢であるとの親近感をもたせようと年齢を低く偽っていた。Aから好意を伝えられると、「東京に行く」、「男子寮に入る」などとして関係を切ろうとしていたことが明らかになった。
裁判官からは、被告人の根底にある考えを聞くような質問がなされた。
裁判官「女性への見方が軽率で、ある種モノ的に見ていることにおかしさは感じてますか」被告人「同じ人なのに、女性だから、年下だからと軽率に見てたのは愚かだと思ってる」
裁判官「そういうことはしてはいけないと、(過去の)逮捕時の指導などで学んではきてませんか」被告人「一番言われたのは、相手の意思を尊重するということ。しかし、それをいいように捉えてしまっていました」
結論は懲役3年の実刑判決だった。
裁判所は、女性を性処理の道具として捉え、少年時からの認知の歪みは顕著で、事件時に特定少年であったものの実刑は免れないと厳しく非難。一方で、被害弁償金を用意している点、若年での思慮が浅い点などは刑期において酌量した。
裁判長は、最後に被告人に対して「少年時の歪んだところがまだ治っていないと判断しました。被害者に与えた影響をよく考えて欲しい」と説諭した。

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