子どもから「遊びに行きたい」とは言われない。わからないんじゃないですかね?…シングルマザーが語った、貧困がもたらす「おカネ以外」の致命的な格差【インタビュー】

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令和3年度時点で119.5万世帯といわれている母子家庭(厚生労働省「 全国ひとり親世帯等調査」)。昨今の物価高の影響もあり、その生活は厳しさを増しているようです。公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事である今井悠介氏の著書『体験格差』(講談社)より、ひとり親家庭のシビアな現実について、3人の子どもを育てるシングルマザー長谷川さん(仮名)のインタビューを紹介します。

長谷川陽菜さんは2度の離婚を経験し、3人の子どもを育てている。高校を卒業してからずっと、保険の営業から水商売まで、様々な仕事を掛け持ちしながら働き続けてきた。現在は受付の仕事をしながら、次の掛け持ちの仕事を探している。子にさせた習い事は、長男がそろばん、長女が英会話とダンス。
―泊まりの旅行だったり、遊園地とか動物園に行かれたりということはありますか。
ないですね。お金もかかるし1人で連れていくのも大変なので。アウトドアは自分があんまり好きじゃないというのも正直ありますね。
―お子さんの側から行きたいと言うこともあまりないですか。
ないですね。行ったことがないから、そういう体験がないから、わからないのかもしれないです。
―ご自身が子どもの頃にキャンプとか、アウトドアの体験をされたりしましたか。
全然行ってないです。私の母親もずっとシングルだったので。だから多分、私自身が関心だったり、アウトドアな感じのところに行きたいっていう感覚がないです。
近くの市民センターみたいなところで、キーホルダーづくりとか、水遊びとか、無料で子どもたちが参加できるのが定期的にあるんですよ。土日はそういうのを見つけて連れていってますね。
車で20分とかで行ける範囲なら送り迎えも私は苦じゃないです。自分が疲れてても、子どもからしたら関係ないじゃないですか。今はちょっと寝ないと無理ですけど、昔だったら寝ずにでもどっか連れていってましたね。だから、ちょっとタフっちゃタフかもしれないですね、私は。
―長男が小さい頃にそろばんに行かれていたとのことですが、ほかにも何か習い事をしていましたか。
高校受験のときから塾に行ってました。長男は小5から中2くらいまで不登校で、友達はいたんですけど学校には行けてなくて。それで、中3で学校に戻る前に、友達が通っていた家の近くの個人塾に通いたいと言ったので行かせました。受験もあったから。
年配の男性の先生だったんですけど、長男との相性がめちゃくちゃ良かったみたいで、しょっちゅう行ってましたね。県立の高校に入ってからも、まだその塾に行きたいって言うから高3まで行ったんです。月に8,000円とかかな。本当は週2回の料金だと思うんですけど、何回行っても値段が上がるということもなくて、週に4回か5回行ってたんじゃないかな。
―それは、先生が長谷川さんの家庭の状況を慮ってということでしょうか。
わかってたのかもしれないですね、それもあったのかもしれないです。夏期講習とか、お金が固まって要るのは1回しか行ってないです。ちょっと高いから。
―子育てのことなどで困りごとがあるときに相談する相手がいますか。
いないですね。ママ友はいるけどそこまで深い話はしないかな。自分の中で解決してしまうタイプなので。自分で考えるっていうか。誰かに言うほうが苦手です。
自分とまったく同じ環境じゃなかったら、相手もわからないじゃないですか。向こうも困るだろうし。相談してわかってないようなことを言われても、こっちも嫌な気になったりするから。だったら別に言わなくてもいいかなって。
―長谷川さんご自身がストレス発散をしたり、リラックスする方法はありますか。
私はなんでもはっきり言うほうだからあまりストレス溜まってないかもしれないです。子どもと24時間いるのはストレスになるので、子どもが保育園に行って、学校に行って、学童に行って、自分は仕事をしてっていうほうが楽だなって思います。適度な距離感があったほうがいいと思っていて。
仕事が平日休みのときは、子どもが家にいないので、そこでちょっとゆっくりするとか、ぼーっとするとか。1人の時間があるから。それぐらいかな。たまに友達と会ったりもするんですけど、それが疲れるときもあるので。
※インタビュイーのプライバシーに配慮して名前は仮名とし、一部の情報に加工を施している。
今井 悠介
公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン
代表理事

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