「ヒートテック」の“寿命”はどう見極める?着用や洗濯で少しずつ劣化…ユニクロが教える買い替え時期と長持ちのポイント

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冬は暖かい服装をしたくなるもの。株式会社ユニクロが販売する、機能性インナー「ヒートテック」シリーズが欠かせない人もいるだろう。ただ、SNSでは度々“買い替え時期”も話題になる。「寿命は1年」「MAX3年くらいらしい」などと、さまざまな意見が出ているが、実際はどうなのだろうか?暖かい理由や買い替えのタイミングなど、気になる疑問を、ユニクロの担当者に聞いた。注目のキーワードは「肌との密着」だ。
ヒートテックシリーズは「冬を象徴するような重ね着を『どんどん薄くしていこう』と開発を重ねている商品です」と担当者は話す。生地が薄いのに暖かく感じるのは、吸湿性に優れた繊維を使ったり、編み方を工夫したりして「吸湿発熱」「保温」「ストレッチ性」「ドライ」の特徴を持たせているからだという。
吸湿発熱…体が発する汗などの水蒸気をレーヨン繊維が吸着して、その水分が持つ運動エネルギーを熱に変換し発熱する保温…極細のマイクロアクリル繊維が “エアポケット”という隙間に暖かい空気を閉じ込めて保温するストレッチ性…ポリウレタン繊維によってストレッチ性に優れるドライ…水分をポリエステル繊維が素早く吸収し乾かす
「体が発した水分(汗)のエネルギーを熱に変えて“暖かい空気” を作り、この空気を繊維の隙間に閉じ込め、保湿しているんですね」そんなヒートテックの代表的な製品は「ヒートテック」「極暖ヒートテック」「超極暖ヒートテック」の3種類。
「基本的な機能は同じですが、暖かさと着心地などに違いがあります。ヒートテックを1倍とすると、極暖は1.5倍、超極暖は2.25倍も暖かいです」それぞれ、次の特徴や違いがあるという。
「ヒートテック」薄くて軽いのに暖かく、心地よいフィット感がある。「極暖」特殊な編み方をすることで繊維の膨らみを作り、暖かい空気の保温力を高めている。優しい肌あたりにこだわり、裏地が微起毛になっているものもあるためより暖かく感じる。コットンやカシミヤを使用した商品もある。「超極暖」暖かい空気をより蓄えられるように特殊な編み方をし、裏面の起毛も長くして、繊維の膨らみを高めている。生地に厚みがあり、保温力もさらに高くなっている。
個人差もあるが、ヒートテックは気温が「5~20℃」、極暖は「-5~15℃」、超極暖は「-20~10℃」での着用に向いているという(※衣類などを着た場合)。外の寒さはどうか、職場は暖かいかなど、生活リズムやシーンによって使い分けるとよさそうだ。ただ、寒い時期になると何度も着用するため、買い替え時期にも悩むところだ。
この疑問を担当者に聞いてみると、買い替えの目安は「生地が伸びてきたら」だという。「着用や洗濯を繰り返すと見た目に変化がなくても、生地の劣化が進みます。劣化で生地が伸びると肌と密着できなくなり、ヒートテックの良さである『肌に密着して体から発する水蒸気を吸収し、熱を放出する機能や保温性』を発揮しづらくなってしまいます」
年数などの定められた使用期限はないが、生地が伸びて“ヨレヨレ状態”になると、肌と生地との間に空気が入り、暖かさを感じにくくなる。“肌との密着”が感じられなくなったら、買い替えのタイミングと思っていいそうだ。そのため、購入の際は“肌と密着するサイズ”を選ぶと暖かさを感じやすいそう。店舗だと袋や箱で包装されているが「スタッフに声をかけていただければ見本を確認したり、商品を試着したりできます」とのことだ。自分に合ったサイズを確かめてもいいだろう。
生地が伸びないように長持ちさせたいが、日々の洗濯はしたいところ。お手入れするときは、どうすればいいのだろうか。「お勧めは“洗濯ネット”に入れて洗うことです。丁寧にケアするのであれば、手洗いが一番長持ちすると思います」他の服と絡むと伸びる原因となるため、型崩れしにくい洗濯ネットを使ったり、洗濯物の量を控えめにしたりするといいそうだ。また、長時間のつけ置きも避けてほしいという。
そして、干すときにも注意点が。「衣類全般に言えますが、洗濯ばさみでつるした場合、特定の箇所に負担がかかってしまうため、ハンガーにかけて乾かすことをお勧めします。干した状態のまま放置していると生地が伸びてしまうため、乾いたらすぐに片付けるよう注意してください」
ここからは「冬に暖かく、うまく着こなしたい」人にポイントを紹介したい。担当者が「密着して着ていただくと、一番ヒートテックの価値を感じていただける」と話すように、まずは“肌と密着”させることが大切だ。
ヒートテックは首元の形にも種類があり、暖かさを求めるなら、首までしっかりと覆うタイプがお勧め。逆に首元が見えるタイプは、ファッションとの相性が良いという。さらに暖かくしたいなら、重ね着してもOK。例えば、極暖と超極暖を一緒に着るといったことをしても良いそうだ。
反対にお勧めできない着こなし方もあって、「オーバーサイズを着る」「ヒートテックの下に普通のインナーをたくさん着る」の2つは、防寒効果を感じにくくなるという。「サイズが大きいと肌との間に隙間ができ、機能を十分に発揮できません。下着のように、肌と触れるように着用してもらうのが良いと思います」デザインや生地の厚みなど、自分の好みや生活スタイルに合わせて使い分けをすると、より快適に使えるだろう。
もし、裏起毛が肌と触れる感覚が気になるなら、カシミヤ素材を配合した「極暖ヒートテックカシミヤブレンド」がお勧めとのこと。また、寒い外と暖かい室内を行き来してよく汗をかくなら、“裏技”として、ヒートテックの下に「エアリズム」を重ね着する、着こなし方もある。「エアリズムを着用すると、暖房が効いた室内で汗をかいた時などに、汗を吸収・放出しサラサラに乾かします。そして、重ね着したヒートテックが放出された熱を保温して暖かくするため、服の中の環境を整える効果があります」
夏のイメージが強い「エアリズム」だが、汗を速乾する「ドライ」、汗の臭いを抑える「抗菌防臭」などの機能があるという。ちなみに、ヒートテックの就寝時の着用は「問題ありませんが、体にフィットさせるストレッチ性のあるインナーなため、気になる方は避けた方がいいです」ということだった。ヒートテックが、寒い季節を乗り越える“強い味方”という人もいるはず。よく使うなら“肌との密着”を、買い替えのめどやお手入れに役立ててはいかがだろう。

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