兵庫県宝塚市が財政難で休止を決めていた武庫川内の観光噴水「ビッグ・フェニックス」が4日、完全に停止した。
阪神大震災からの復興の象徴として23年前に整備されたが、老朽化で修繕には多額の費用が必要だった。川にぽつんと残されたコンクリート製の土台をどうするのかが、今後の課題になる。(高部真一)
武庫川河川敷の地下にある電気室でこの日、作業員が配電盤を点検したうえで、噴水を動かすためのスイッチを切った。水を吸い上げるポンプ6基のうち1基しか正常に動かず、27本のノズルのうち6本だけから弱々しく水が出る状態になっていた。
観光噴水は1969年に設置され、震災で故障。県と市が2001年、復興に向かう街の名所にしようと2代目を整備した。ノズルからは最高約20メートルまで水が噴き上がり、宝塚大劇場を背に不死鳥が勢いよく羽ばたく姿をイメージし、市民らから親しまれてきた。
11年以降、ポンプの故障が目立つように。管理する市は行財政改革を進めており、今後の維持管理費用を節約するため、休止を決めた。年間136万円を削減できる。
武庫川の中央には、噴水の土台(長さ約29メートル、幅約4メートル)が残ったままになる。土台は川底に埋め込まれており、撤去するには川の水をせき止めるなどの大規模な工事が必要。多額の費用が想定される。
周辺は、宝塚大劇場や遊歩道「花のみち」、市立手塚治虫記念館、温泉のあるホテルなどがある観光エリア。かつては土台付近で花火が打ち上げられたり、水を噴き上げてつくったスクリーンに映像を投影したりするイベントがあったという。市は、関係者と協議しながら、活用策がないかどうか模索するとしている。