【山村 佳子】キャッシュレス決済で発覚した開業医の夫の浮気疑惑…38歳妻に20歳息子が言ったこと

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2024年8月9日、コード決済の「PayPay」は資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)に対応する資金移動業者として、厚生労働大臣の指定を受けた。
これに伴い、ソフトバンクグループ各社は「PayPay」を使ったデジタル給与払いをを開始すると発表した。希望する社員は上限20万円分の給与を「PayPay」で受け取れる。超えた金額は従来通り銀行口座に振り込まれるという。
デジタル給与払いは2023年に厚生労働省のガイドラインが決められていたが、対応するのは国内初の事例だ。
「PayPay」の発表では、今後、労働基準法施行規則に基づく指定要件を満たすサービスとしてソフトバンクグループ各社以外にも、「PayPay給与受取」を提供するという。
この背景には、政府が掲げる、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという目標がある。経済産業省によると、2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%(126.7兆円)だった。中でも伸びているのが、「PayPay」を含むコード決済で、5年で10倍以上、決済額が増えていることがわかった。
キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは「クレジットカードやコード決済の履歴から、浮気が発覚することが増えました」と言う。
山村さんに依頼がくる相談の多くは「時代」を反映している。同じような悩みを抱える方々への問題解決のヒントも多くあるはずだ。個人が特定されないように配慮をしながら、家族の問題を浮き上がらせる連載が「探偵が見た家族の連載」だ。
今回山村さんのところに相談に来たのは、38歳の専業主婦・亜美さん(仮名)だ。「48歳のモラハラ夫が浮気してるんです……マジ離婚したい。慰謝料ぶんどりたい」と山村さんに連絡をしてきた。一体何があっただろうか……。
私立探偵、夫婦カウンセラー。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリング経験を持つ探偵として注目を集める。テレビやWEB連載など様々なメディアで活躍している。
リッツ横浜探偵社:https://ritztantei.com/
今回の依頼者・亜美さんは38歳の専業主婦です。結婚10年の夫は開業医で10歳年上の48歳。都内の高級住宅街にある広い一戸建てで、3人の子供と生活しています。傍目から見たら、非の打ちどころのない家庭とも言えます。さらに亜美さんも容姿に恵まれており、小さな顔にパッチリとした瞳が印象的。ベージュのノースリーブのブラウスに黒のパンツを合わせ、ハイブランドのネックレス、ピアス、リングなどの品の良いジュエリーが、透明感がある雰囲気に似合っています。
しかし、表情は疲れ切っており「夫のコード決済の履歴を見たら浮気していることがわかりました」とうんざりしたかのように言ってきました。
「夫の出会いは、夫が経営するクリニックです。私はもともと、25歳の時に医療事務として雇われたんです。半年もしないうちに向こうから声をかけてきて付き合うようになりました」
夫は代々、医師の家系で資産家でもあります。サイトを見ると好感度が高い容姿をしており、婚活女性の人気の高さが想像できます。
「こっちも独身かつイケメンのドクターと付き合えるって嬉しいじゃないですか。もちろん、既婚者かどうかは調べましたよ。でも夫の友達や同僚の様子を観察しても、明らかに独身だった。でも、違ったんです。当時、夫は結婚していたんですよ。全く表に出していなかったから、私は全然、気づかなかったんですよ。本人に確認していない私もバカなんですが、交際2年目、私の妊娠がわかったときに、“実は結婚していて子供がいるので、おろして欲しい”と言われました」
亜美さんの両親は会社を経営しており、多くの人脈がある。夫の発言に激怒し、弁護士同伴で、夫と元妻、夫の父との会談の席を設定。そこでわかったことは、当時、夫と元妻は別居しており、事実上の婚姻生活が5年以上ないことでした。元妻は「いいタイミングだから離婚しましょう」とすぐに別れることに。
「元嫁も医師なんですよ。救急救命に命をかけているような人で、家庭のことはほとんど顧みていなかったようです。夫との間に2人の息子がいるのですが、その子たちも夫の実家に預けっぱなし。義母とシッターさんが育てていました。私と結婚することが決まったとき、夫の母から“この子達をよろしくね”と言われました。私のお腹にも赤ちゃんがいるし、連れ子2人を面倒見なければならない。ただ、そのころは夫のことを愛していたので、息子たちを愛そうと決意しました」
元妻と夫との間の子供は、それから10年経った現在、20歳と18歳。28歳の亜美さんは、突然10歳と8歳の、小学生男子2人の母になったのです。
「そうなんですよ。2人ともとてもいい子だったのが幸いでした。妹を可愛がってくれたし、私が出産後に動けないときも、掃除をしたり洗濯をしたりしてくれましたから」
結婚、5年目あたりまでは、夫に違和感はなかったそうです。
「上の息子が反抗期になったあたりから、家庭が崩壊してきたんですよね。夫はとにかくイエスマンが好き。夫の言うことに“そうだね”と答えていれば上機嫌なんですが、反論するとあからさまに不機嫌になる。ある時から、上の息子は“お父さんの意見はおかしい”などと言い出すようになり、夫との間で口ゲンカが頻発するように」
ケンカがヒートアップすると、さらに夫は「誰のおかげでこの生活ができているんだ」とか「金を出しているんだから、俺のいう通りにしろ」などとモラハラ的発言を繰り返すように。
「上の息子は今、アート系の学校に通っているのですが、そこでもひともんちゃくあって。夜中まで“ふざけるな!”とか“アートなんて男の仕事ではない”という夫の怒鳴り声が聞こえて、私たちは眠れなかった。結局、私と上の息子で夫の実家を説得。義父がお金を出すことで、アート系の学校に進学できたんです。夫は2人の息子を医師にしたかったんですよね。下の息子は自らの医師で医学部に入ったので、そこは正直言うとホッとしましたが、なりたくないものを無理に受けさせるのは私は反対でした」
亜美さんは、おおらかな両親のもとで愛されて育ったので、子供たちには望む道に進ませてあげたいとという信念がある。下の息子も、もしかしたら自分が父のクリニックを継がねばと責任感を持って医学部に進んだのかもしれないけれど、同じ医師でもどんな専門をやりたいと思うかは息子の自由だと思っており、そういうフォローをしていました。そんな亜美さんのことが、夫は面白くない。以降、亜美さんや上の息子に対して、気に入らないことがあると、すぐに大きな声を出したり、テーブルを叩いたり、物を投げつけることが日常茶飯事に。
「当てつけのように、娘と下の息子のことは可愛がるんですよ。で、私には、玄関の靴が揃っていないと怒鳴りつけ、帰宅してビール用のグラスが冷えていないと“お前たちのために働いて、疲れて帰ってきているのに美味いビールも飲めないのか”と物を投げつけてくる。ただ、浮気をしないところがいいところだったのに!」
なぜ、浮気の疑惑が浮上したかというと、経理のことをまとめている亜美さんが、クレジットカードの明細書と、夫から渡される領収書の内容が一致しないことに気づいたから。
「夫はお札や小銭を使うことが苦手なんです。だからなんでもカード決済します」
夫は税理士がついており、亜美さんが夫のポケットから領収書を回収。郵送されてくる紙の明細書と整合させて、税理士に提出していました。しかしある時から時々、カード明細にない領収書が見つかるようになります。夫にそのことを指摘すると、「カードが使えない店なんだよ!」と怒鳴ったそうです。
「おかしいな、と思いつつ、家のタブレットから夫のQRコード決済の履歴をチェックしたんです。そうしたら、これ……見てくださいよ。明らかにラブホテルの運営会社である“◯◯株式会社”とか、寿司店、レストランなどたくさんあるでしょ」
亜美さんはスクリーンショットを撮ってあり、それによると夫は金曜日に誰かと会っていることがわかります。
「夫が家にいないと、みんなのびのびしているので、遅く帰ってきてくれて、嬉しいくらいだった。2年ほど前まで、夫は週に1回ほど一方的に私を求めてきたのですが、今は頻度も減ってホッとしていたら、浮気だったんですよ。許せない!」
愛情はとっくにない夫の浮気が許せないのは、夫はコンドームが嫌いだから。
「私はピルを飲んでいるのでいいですが、浮気相手が妊娠する可能性もある。それに、私が性感染症になるかもしれないじゃないですか。私とセックスしなければ、どうぞ外でヤッてください、なんですけどね」
亜美さんが今後について悩んでいると、上の息子が何かを察知し、「お母さん、お父さんのことは自分でどうにかしようとか考えないで、早くプロに頼んで決着つけた方がいいよ」と言ってくれたんです。
上の息子は、9月から海外に留学するとのこと。息子は「お母さんが心配だよ。妹のためにも、ぶんどれるものは取っといた方がいいよ」と続け、亜美さんは離婚に向けての浮気調査を決意します。
◇夫も頑張って仕事をしているのだろうが、自分の言うことを聞かないとダメという姿勢は、ゆがみを生みかねない。むしろ亜美さんが上の息子をかばえたことで、少年たちの心をつぶさずに済んだともいえるだろう。
また、亜美さんや子どもたちへのモラルハラスメントも問題だが、浮気をしていたとして、もしその相手にコンドームを使用していないとしたら、避妊以前に感染症のことも含めて性暴力の疑惑も生まれる。亜美さんとお子さんたちが健やかに暮らすためには、現実を知ったうえで、夫と話す必要があるのだろう。
では実際は浮気をしているのだろうか。その調査の結果と亜美さんたちの決断は後編「開業医の夫「キャッシュレス決済」でばれた浮気の現状。38歳妻が決断したこと」にて詳しくお伝えする。
開業医の夫「キャッシュレス決済」でばれた浮気の現状。38歳妻が決断したこと

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