お盆休みを直撃…南海トラフ地震の臨時情報でかき入れ時の旅館に“キャンセル約1300件” 備えも再確認

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帰省客や旅行客でにぎわうお盆休みですが、南海トラフ巨大地震への注意が呼びかけられ、観光地ではキャンセルが相次ぐなど影響が広がっています。 8月12日午前のJR名古屋駅では、東海道新幹線の東京方面への上りがピークを迎え、多くの家族連れらの姿がみられました。子供:「おじいちゃん家に行きます。一緒にご飯を食べたいです」女性:「ディズニーランドに行きます」
しかし、8日に発表された「巨大地震注意」の臨時情報を受けて、東海道新幹線も三河安城駅と三島駅の間で速度を落として運転しています。乗客からは不安の声も聞かれました。

男性:「何も起きないといいんですけど、起きた時のために準備はしたいなと思っています」 お盆休みを直撃した今回の臨時情報、かき入れ時の観光地にも影響が広がっています。 三重県紀北町では、町が管理する海水浴場4カ所が8月15日まで閉鎖となりました。
尾鷲市でも、磯釣り客などを案内する渡し船の組合が休業することを決めました。川端渡船の川端徹さん:「(Q.予約やお客さんは?)キャンセルしました。僕らは人を預かる商売なのでしょうがないです」
また、宿泊施設にも影響が出ています。鳥羽湾を臨む三重県鳥羽市の老舗旅館「戸田家」は例年、お盆の時期はおよそ170ある客室がほぼ満室となりますが、キャンセルが相次いでいるといいます。
戸田家の寺田順三郎社長:「キャンセルが非常に多くなりました。平日で約5倍から、多い時は10倍近くキャンセルがございます。(地震への)取り組みをどのようにしているか、やはり皆さん心配なようでございまして」 巨大地震注意の臨時情報を受けて、すでにおよそ1300件のキャンセルが入り、売上は数千万円のマイナスだといいます。予定通り宿泊した人に話を聞きました。客:「海が近いので、もし津波が来たらどんな風に避難すればいいのか心配でした」別の客:「オムツや着替えをかなり余分に持ってきて、もし仮に地震が来てしまっても何日かは安心して過ごせる準備はしてきました」 もちろん、戸田家でも備えを欠かしていません。戸田家では、宿泊客や従業員が1週間ほど生活できる食料など防災用品を備蓄しています。
また年に2回の防災訓練に加え、臨時情報の発表を受けて、改めて宿泊客の避難誘導の手順などを確認しました。戸田家の寺田順三郎社長:「玄関先で約10mの海抜がございますので、この辺の想定の津波が10mから高くても15mということでございますので、3階以上に避難をさせる訓練をしております」
尾鷲市で高齢者介護施設「あいあいの丘」を運営するNPO法人「あいあい」でも、津波への対応を進めていました。 7階建てのこの施設は、津波が来た際の緊急避難場所に指定されていて、付近の住民も避難できるよう、屋上の扉の鍵を開けたままにしています。
別の介護施設では、荷物をまとめる高齢の女性の姿がありました。この施設は海抜5メートルの津波浸水域にあるため、臨時情報が出た翌日の9日、入居する9人全員を高台にある施設に避難させました。
NPO法人「あいあい」の副理事長:「夜間に津波が来た時に、スタッフでは対応できないということで。車椅子の方であったりとか、寝たきりの方もいらっしゃいますので、その点では避難にすごく時間がかかりますので、早めの対応をしたいという決断でした」 日常の生活を続けながら「もしも」にどう備えるか、日頃の対策を再確認するきっかけにもなっているようです。

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