開業医の夫「キャッシュレス決済」でばれた浮気の現状。38歳妻が決断したこと

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「クレジットカードやコード決済の履歴から、浮気が発覚することが増えました」と言うのは、キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんだ。彼女は浮気調査に定評がある「リッツ横浜探偵社」の代表だ。
政府は、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという目標を掲げている。経済産業省によると、2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%(126.7兆円)だった。中でも伸びているのが、「PayPay」を含むコード決済で、5年で10倍以上、決済額が増えているのだ。
そんな中、クレジットカードとコード決済の「差異」から浮気の疑惑が判明したという家族がある。そんな38歳の専業主婦・亜美さんの相談内容を伝える後編では、悩みと調査の結果をお伝えする。
今回山村佳子さんのところに相談にきたのは、38歳の専業主婦・亜美さん。結婚10年になる夫は48歳の開業医で、夫の連れ子の2人の息子と、実施である9歳の娘とともに都内の高級住宅街にある一戸建てで生活しています。息子は20歳と18歳です。
亜美さんは26歳のときに、夫が経営するクリニックに医療事務員として就職しました。夫は当時結婚していましたが、そのことを一切表に出しておらず、独身だと判断した亜美さんは交際に踏み切ります。
交際2年目に、亜美さんの妊娠が判明。夫に伝えると「実は結婚して子供がいるのでおろして欲しい」と言われます。激怒した亜美さんの両親は弁護士を雇い、夫と元妻、夫の父親と会談することに。そこで分かったことは、医師の元妻と夫の結婚生活は破綻しており、当時小学生だった2人の息子は夫の実家で育てられていることがわかりました。
夫と元妻は即座に離婚し、亜美さんと結婚します。亜美さんは夫の母より「この子たちをよろしく」と小学生男子2人を託されます。その後に生まれた娘とともに、3人の子育てに奮闘しました。幸いふたりともとても良い子。これまで夫の両親に育てられていた中、母親として亜美さんはふたりを大切に愛し、息子たちも亜美さんを母親として慕い、手伝いもしてくれました。
そんな幸せな生活が一転したのは、結婚5年目。上の息子が反抗期になったこと。自分の意見に反論されると激怒する夫は、冷静に夫に対して意見をいうようになった長男や長男をかばう亜美さんに、暴言や暴力を日常的に繰り返すようになったのです。
亜美さんは、家事や育児のほかに、夫の確定申告の書類整理も行なっています。夫のポケットやバッグの中にあるレシートや領収書を整理し、クレジットカードの明細書と整合させて、税理士に提出していました。
しかし、あるとき、「領収書はあるのに明細にはない」支払いに気づき、夫に指摘。すると「カードが使えないんだよ!」と怒鳴られます。といいながら、夫はお札や小銭を使うのが苦手。現金払いの可能性は薄いと思い、夫のタブレットからコード決済の明細書を見ると、レストランやラブホテルの決済履歴が明らかになり、夫の浮気を確信したのです。
大きな問題は、夫がコンドームが嫌いで使わないということ。亜美さんはピルを飲んでいますが、浮気しているとなると、相手が妊娠する可能性もありますし、自分が性感染症になる可能性も高い。積み重なったモラハラもあり、離婚を決意します。
夫は金曜日の夜に浮気相手に会っていることが、コード決済の履歴からわかりました。夫のように潔癖なタイプは、同じラブホテルを使う可能性が高い。そこで、コード決済の履歴にあった「◯◯株式会社」を検索し、その会社が運営するホテルを特定。「ここに行くだろう」と思うホテルをいくつか下見して、確実に証拠が取れるように準備してから、調査に入りました。
夫は朝、亜美さんの運転で出勤し、帰りはタクシーで帰宅します。金曜日の朝、8時から家の前で張っていると、9時30分亜美さんと夫が出てきました。夫は亜美さんに「モタモタすんなよ」「なんで、エコバックを忘れるの? 買い物するのにさ。なってないよな。バカなの?」と頭や肩を小突いており、モラハラ的傾向があることが会話からもわかりました。
夫は見た目の好感度が高い人です。クリニックのサイトの写真と変わらない若々しさがあり、全体的につるんとしており清潔感がある。自身でも治療をしているのでしょう、顔はパンと張ったようで、唇がプルプルしています。ファッションもおしゃれで、ロゴがプリントされたTシャツは、あるハイブランドの今年の新作でした。
診察開始時間の5分前にクリニックに出勤し、私たちは待機。それから動きはなく、18時に出てきた夫はタクシーを捕まえて、渋谷方面へと向かって行きました。あるハイブランドのショップに入ると、店員さんがすっ飛んできて、色々紹介しています。バッグや靴などを見つつ、お揃いでサイズ違いのサンダルを2足購入。「家に送っておいて」と言っていたので、おそらく亜美さんとお揃いで履くのでしょう。
19時5分前になると、あるビルに入って行き、上部階のエレベーターで降りました。ペアの探偵が上がると、そこは会員制のレストランでした。
21時30分に10人ほどの男女がゾロゾロと降りてくる。「今日も良かったね」「ワインが秀逸」などと出てきます。夫はボディラインがくっきり出ている、胸が大きくて顔が小さい女性と小指を絡ませており、女性も夫にしなだれかかっている。いわゆる“港区女子”といわれるような風貌の20代後半と思われる女性です。
別の男性が、女性の頬を触り「今日もエッロいね。いいな~。俺も彼女が欲しい」などと言っているところを録音。女性は夫の手を握り「そうよ、今日も可愛がってもらうの」などと言っていました。
この女性の他は、皆40~50代の男女で、夫と女性の様子を見て、失笑する人もいました。これは後で分かったことですが、夫はワインスクールに通っており、そこで知り合った弁護士や医師と隔月で食事会を開催。持ち回りで幹事を行なっており、この日は夫が幹事でした。
夫は女性と手を繋ぎながら、明治通りまで歩いて行きます。女性はキスをせがんだり、「かっこいい」とか「その服似合うね」などと褒めていました。
タクシーに乗り込んだ二人は、歌舞伎町の高級ラブホテルに入って行きました。女性はひたすら夫に話しかけて、ボディタッチをする。「今日は何本ヒアル(ヒアルロン酸)を打ったの? 稼いでるぅ!」「でも私にはヒアルじゃなくて、ぶっといお注射してほしい」などと言っている。短時間ですが、女性には言語センスがあり、魅力的な人であることもわかりました。
私たちも後を追い、2人が部屋に入るところを確認。ここは防音もセキュリティもしっかりしていることが下見の段階でわかっていたため、私たちは30分で外に出て、出口を見張ることにしました。
深夜1時に迎車のタクシーが停まったので、追跡のために気合いを入れます。夫は女性のみを迎車のタクシーに乗せました。キスをして別れ、自宅方面へと歩き始めます。私たちは依頼者・亜美さんから浮気相手の身元特定も依頼されています。
私はタクシーを追い、埼玉県内にある女性の自宅を確認。そこは一戸建てで、表札を見ると女性は既婚者でした。名前と顔を調べると、あるボードゲームの達人であり、SNSのアカウントもありました。そこでの女性は、パーカーに短パンというカジュアルな服装をしており、夫に見せている顔とは別人でした。
ペアの探偵が、女性と別れた夫を尾行。自宅方面に向かってダラダラと歩き始め、途中でファミレスに立ち寄って30分ほど休息した後は、本格的に競歩のように歩き始め、自宅まで数キロを猛スピードで歩いて帰宅。食べたカロリーを消費するために、夫はひたすら歩いていることが後にわかりました。
あっさりと証拠が取れてしまい、亜美さんは「なんですか、これは」と驚いていました。亜美さんはすぐに実家に行き、両親に相談。すると、父は「まず、この女性との関係を明らかにした方がいい」と言い、女性に面談を申し込みます。
女性は会談の場所に一人で来て「ごめんなさい」と平謝りだったそうです。夫とは特異な性癖専門のマッチングアプリで出会い、2年間定期的にあっていることを告白。
「女性は自分の夫にはできない性欲を夫で処理しており、夫は私ではできないことをしているだけの関係だ、と言っていました。夫は女性に毎回2万円とタクシー代を渡していたみたいです」
夫がサディズムに喜びを見出すようになったのは、長男がアート系の大学に進学することがきっかけでした。我が子が医学部に進学しないことが強いストレスになり、暴力的な性癖が目覚めたとのこと。20代後半に見えた女性の年齢は34歳で、高校の同級生と結婚しており、離婚する気もないことも話してくれたそうです。
「“あなたの夫さんとは別れます”と平謝りされてかわいそうになってしまって。女性への慰謝料請求はやめました。さらに女性の腕には夥しい数の自傷の跡があって、怖くなったこともあります」
亜美さんは夫に対して、別居を申し出ます。夫は「嫌だ!!」と泣き出したそうです。
「証拠を見せたら、“これは僕ではない!信じてくれ!”と大泣きして、私と娘が家を出るというと、ものを投げつけてきた。上の息子が“お父さん、やめなよ”と制止した隙に、私は家をでて、実家に戻りました」
それから1週間、夫は「僕が悪かった。戻ってきて欲しい」とLINEを送り続けているそうです。亜美さんは「夫は何が悪いか、わかっていないと思いますよ」と言っていました。
その後、亜美さんは性感染症の検査を受けて、今は結果待ち。弁護士と相談しながら、離婚に向けて進めているそうです。亜美さんは保育士の資格を持っており、就職活動も始めたとのこと。実は夫の病院に勤務する前は保育士として仕事をしており、残念ながら勤務した園でハラスメントに遭って一度保育の仕事から離れていたのでした。いつか保育の仕事に戻りたい、自分も社会で働きたいと思っていましたが、育児や夫の送迎もあり、ためらっていたそうです。
「実家に帰り、風呂が狭いとか、リビングが散らかっているとか前の家との違いはありますが、散らかっているのは私が片付ければいいわけだし、怒鳴り声やものを投げつけられることに怯えなくていいのは快適。離れてみると、夫にはいいところがあることにも気づくんですよね。ただ、いいところというのはお金の気前がいいこと。生活費を惜しまないし、なんでも買ってくれるので(笑)。ただ、それと引き換えにびくびくして生活するのは、やっぱり嫌ですよね」
亜美さんの実家には、その後、下の息子も顔を見せ、入り浸るようになったとか。亜美さんは継母ですが、2人の息子に愛情をかけて育てたことがわかります。今後は離婚に向けて進むことになりそうですが、しばらく事態を見守ってから、今後のことを決めると笑顔で語っていました。
これまで多くの夫婦に関わってきましたが、モラハラ的傾向は簡単に改善されるものではありません。ハラスメントをしてしまった人が、本当に自分がやったことに向き合い、そしてそれをしてしまう自分の弱さやコンプレックスと向き合あう必要もあるからです。とはいえ、夫がそのように改善したいと思えたら、亜美さんや息子たちと新たな関係を築くことができるかもしれません。今後、亜美さんがどうなるかはわかりませんが、子供達に対する思いや愛情が深く、血が繋がっていない2人の息子からも信頼されている亜美さんには、明るい未来が広がっていると確信しました。
調査料金は30万円。(経費別)です。
キャッシュレス決済で発覚した開業医の夫の浮気疑惑…38歳妻に20歳息子が言ったこと

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