【兵庫県職員・2人目の死者】県が公表を3ヶ月間も引き延ばしたロクでもない理由…同僚は「絶対におかしいという気持ち」

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兵庫県の斎藤元彦知事(46)がパワハラなどで元県民局長から告発された問題で、新たな死者が判明した。告発文書の中で病気療養中とされていた課長が、4月20日に亡くなっていたというのだ。自死とみられるが、県はこの事実を隠蔽。7月23日になってようやく、県職員向けのサイトの訃報欄に課長の名が加えられた。
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斎藤知事のパワハラなど7項目にわたって違法行為を告発した文書には、【優勝パレードの陰で】と題された項目がある。
昨年、阪神タイガースが18年ぶりにリーグ優勝し、オリックス・バファローズがリーグ優勝3連覇を果たしたことで、11月に兵庫・大阪連携の優勝記念パレードが開催された。この時の経費についての告発だった。
《優勝パレードは県費をかけないという方針の下で実施することとなり、必要経費についてクラウドファンディングや企業から寄附を募ったが、結果は必要額を大きく下回った。/そこで、信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせることで補った。(中略)パレードを担当した課長はこの一連の不正行為と大阪府との難しい調整に精神が持たず、うつ病を発症し、現在、病気休暇中。》
この課長が亡くなったという噂は以前からあったが、議会での質問に知事も県当局も個人情報やプライバシーを盾に明かそうとしなかった。だが、3カ月余を経てようやく職員たちに公表されたのである。
きっかけは、知事の疑惑解明のために設置された百条委員会ではなく、7月17日の総務常任委員会でのことだった。この日の議事終了が告げられた直後、ひょうご県民連合の竹内英明議員が挙手した。
竹内:県職員の方から連絡がございまして、遺児育英資金について確認させていただきたいと思います。遺児育英資金と申しますのは、兵庫県庁に在職中に不幸にしてお亡くなりになられた県職員に対し、生前に在籍していた部局の長が、公務災害等の基金や退職金とは別に、遺族への弔意を表すために任意でお金を集めることです。私に寄せられた声というのは、亡くなられた職員の遺族育英資金が行われていないのはなぜなのか、このことを取り上げてほしいというのです。知事はこのことについて、いわゆる個人情報であるということで、細かい点を含めてほとんどお答えになっていませんが、もう亡くなられてから2カ月以上経過している。今以てなお、遺児育英資金の募集が行われていないのか確認をさせていただきたいと思います。
この質問に兵庫県理事(若者・Z世代応援等調整担当)が答えた。
理事:えー、どなたのことをおっしゃっておられるのか……、今話題になっておられるお方とすれば、お亡くなりになったかどうか含めて回答を控えさせていただきます、という回答をさせていただきます。(中略)なぜ、そういったお答えをさせていただいているかというところですけれども、それにつきましては、やはりご本人、家族について守られるべきプライバシー、我々としても個人情報をお出しできないという状況にあります。
県当局の答えは、これまでと全く同じだった。竹内議員が質問を続ける。
竹内:私はこの発言をするにあたって、告発文書をどうこうするつもりは一切ございません。これは人間として、一緒に働いてきた方々が「絶対におかしいという気持ちでいるんです」とおっしゃったので、今日、取り上げさせていただきました。「部長は遺児育英資金をやらないといけないという思いが強かったのに、それを止めた人間がいるんだ!」という話が届いています。(中略)個人情報を出せなんて言ってないんですよ。それとは別に遺児育英資金はやるべきだと思っておりますが、個人情報のことだと言われますと、これ以上は言えませんので、これで終わらせていただきます。
理事:ご想像の職員につきましては、私も一緒に仕事をしました。県民センターでは直属の部下でもありました。一緒に仕事をして、本当に感謝しております。仲間の皆さんの思いも十分に、十分にわかります。そういった上で、守るべきはご家族、ご家族のプライバシー、いろんなアクションがないようにするのが我々の務めですから、職員の皆さんもその辺りはご理解をいただいて、プライバシーを守っていくご配慮をいただければと考えております。どうかよろしくお願いします。
この件はここで終了した。ある県職員は言う。
「会議の様子は先週末にYouTubeで公開されました。どうやらそれが拡散されたようで、県には抗議の電話が殺到したんです。それで突然、県職員に向けて課長の訃報が公にされたのです」
なぜそこまで隠さなければならなかったのだろう。
「実を言うと、竹内県議は今回、公務災害認定請求についても質問したかったようなのですが、担当者がその場にいないことで取りやめました。この請求をさせたくなかったからではないかと言われています」
公務災害認定請求とは、地方公務員のいわゆる労災だ。
「公務災害の認定は兵庫県ではなく、地方公務員災害補償法に基づき地方公務員災害補償基金が行うのです」
県はその認定をされたくなかったというのだろうか。
「被災職員は所属長に認定請求を行い、所属長は災害発生の証明を任命権者に行わなければなりません。それが基金へと届けられるわけですが、その過程で、なぜ課長が精神を壊すまで働かなければならなかったのかが、詳しく調査されることになるからと言われています」
告発文書にある【優勝パレードの陰で】、つまり「経費の不正疑惑」がクローズアップされることになる。告発文書が指摘した闇は深い。
デイリー新潮編集部

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