「目立たない少年」「実家に連れてきた彼女」…家族ぐるみの付き合いをしてきた地元の恩人が明かす、石丸伸二が「普通の人」だった頃

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東京都知事選での大躍進で一躍「時の人」となった前安芸高田市長の石丸伸二氏(41歳)。選挙後もその言動は注目され、「政治を変えてくれる救世主」と喝采を送るファンがいる一方で、「何がしたいのかわからない」と眉をひそめるアンチも少なくない。
SNSでの情報発信などで賛否両論を引き起こしている石丸氏は、どのように生まれ育ってきたのか。
前編記事『「石丸伸二」はいかにして生まれたのか…同じ敷地内で暮らした「大家」が明かす、“賛否両論”の原点』より続く。
石丸氏は安芸高田市の市長就任後、両親が暮らす自宅を訪れ、両親とともに地元テレビ局のインタビューを受けていた。そのインタビューにおいて、石丸氏と両親は、こうやりとりをしていた。
「小さい時から市長になるんじゃあ、知事になるんじゃあ、言っとったけぇ」(父親の守さん)
「あの頃のままよね。突発的なところとか」(母親の鈴枝さん)
「やんちゃだったけぇ」(守さん)
「まぁ変わってないかな」(石丸氏)
石丸氏はどんな少年だったのか。石丸家と同じ敷地内に暮らし、家族ぐるみの付き合いをしてきたAさんは次のように振り返った。
「伸二くんのことは生まれたときから知っていますが、本当に普通の子でした。特に目立つこともなかった。すぐ近くにある塾に通っていましたが、決して神童とか天才という感じではなかった。特別に印象に残っているのは、漫画をよく読んでいたこと。彼にとって人生の教科書になったのは漫画だと思います」
石丸氏は広島市内にある祇園北高校を卒業後、1年の浪人を経て京都大学に進学した。同校から京大に進学したのは初めてだったという。
母校・京都大学新聞のインタビューでは「経済学部を選びましたが、その理由は手っ取り早く、手堅く稼ぐためでした。大前提として、実家がそれほど裕福ではなかったので、お金に不自由したくないという思いがありました。そう考えたときに、一番確実に、期待値高く稼げるのは金融機関だと」と答えている。
「一浪したのは、希望の学部に入りたかったからだと聞いています。ほかの学部であれば現役でも入学できるレベルにあったようです。
お父さんは路線バスの運転手を経て観光バスの運転手へ。お母さんはパート。共働きの両親の姿を見ていた。それはたしかです。ただし、お兄さんは私立の大学に行っていますし、生活が大変だったということはないと思います。彼の場合、自分の稼ぎがいいので、子ども時代はお金の部分で苦労したという感覚なのかもしれません。
ただし、学生時代から自立していたと思います。浪人時代は広島市内の松屋でアルバイトしながら予備校に通っていました。大学進学後は、奨学金とアルバイトで生活していたと聞いています。
余談ですが、大学では大道芸に熱中していたとのことです。何回生のときか覚えていませんが、5月5日に地元に帰って来て、商店街で開催されるお祭りでジャグリングとマジックバルーンを披露していました。なかなかの腕前で感心したことを覚えています」
Aさんは「すべてを知っているわけではないが」と断りながらも、「ごく普通の学生だった」と明かす。
「交際相手もいたはずですよ。石丸家にうちの電話番号も貸していたのですが、奥さんの実家の建て替えに伴い、夫婦はそっちに引っ越すことになった。それを機に、石丸家が使っていた電話番号を私が経営する店の電話番号として使用することになったのですが、女の子から何度も電話がありました。
すでに伸二くんは大学進学に伴い、京都に住んでいた。私は『京都に行ったからおらんよ』と何度も説明しましたが、女の子は納得していない様子でした。京都に行ったことも知らなかったのであれば、彼女ではなく単なるファンだったのかもしれません。
その後、彼が三菱UFJ銀行に入行して数年経った頃でしょうか。実家に当時交際していた彼女を連れてきたそうです。つまり両親への挨拶ですね。三人きょうだいは皆、独身ですが、きょうだいの中で一番結婚しそうだったのは彼でした」
石丸氏を幼少期から知るAさんは、「政治家に向いていると思います。ただし、国会議員タイプではない」と分析する。
「彼はこれまでずっと自分がやりたいこと、好きなことをやってきたのではないか。それが今は政治になったのかもしれません。政治家に向いていると思います。そのひとつが酒の強さ。どれだけ飲んでも乱れないし、顔にも出ない。何でも飲みますが、決して理性を失わない。あれはたいしたものですよ。あの家はお父さんも妹さんも飲みますが、伸二くんはズバ抜けて酒豪です。
今後ですか? 彼は一匹狼。国会議員にはならないと思います。理由は自分の思い通りにならないから。どこかの首長をやるのではないか。いい意味でも悪い意味でもトップじゃないとやれないタイプだと思います。
彼は自分の考えで動くタイプです。命令されるのが嫌い。他人の言うことを聞くタイプではありません。おそらく幼い頃から親の言うことも聞いていなかったと思いますよ」
一市民として石丸市政をどう評価したのか。こう聞くと、Aさんは複雑な胸の内を明かした。
「生まれたときから知っていますからね。『どう思うか?』と言われても『普通』としか言いようがない。もちろん応援していました。市長選のときは所有する物件を選挙事務所として提供しました。
都知事選での2位という結果。これは普通に考えれば『よく頑張った』ですが、彼も両親も勝てると思っていたのかもしれません。両親は当選のお祝いのために東京に行くつもりだったようです。
伸二くんはよく頑張っていると思います。ただし、昔から知っているからこそ、心配もしています。あくまで私の考えですが、彼の価値観は漫画の影響が大きく、彼が発する言葉は漫画から引用しているような気がします。伸二くんは主人公。自分が正義であり、自分が正しいことを信じていて、自分の非を認めない。考えが違う人は目に入ってこない。自分とそれ以外。それで生きてきた。
あとあとが心配でもあります。相手のことを考えられない。今のままでは、つまり失敗せんと天狗になる。でも、指摘する人はいない。そもそも彼は意見を聞くタイプではないから。
振り返れば、市長選の時もお世話になった人へのお礼をしなかった。理由はシンプルです。彼の考えでは、感謝したら、お礼に出向けば、選挙違反になる。そう信じています。義理とか感情よりも法律というか。せめてボランティアには感謝してほしいと思いますが、私が言ったところでねぇ。
今後が楽しみです。知っているからこそ頑張ってほしい。一方で、応援しているからこそ心配しているのもたしかです」
「石丸伸二」はいかにして生まれたのか…同じ敷地内で暮らした「大家」が明かす、“賛否両論”の原点

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