「経営トップを筆頭に、我々のグループ全体にモラルの低い体質が蔓延(はびこ)っていました。そのせいで……」
【画像】「お前ら仕事してんの?」「舐めてんのか」創業者A氏がグループ社員に送った“実際のメッセージ”を見る
こう内部告発するのは、事故が起きたサウナ店の、事実上の母体に当たるグループ会社「KUROFUNE&Co」(千葉市)の社員X氏だ。
現場となった赤坂の「サウナタイガー」
◆◆◆
12月15日、東京・赤坂の高級プライベートサウナ店「サウナタイガー」の個室に閉じ込められた30代の夫婦が亡くなった。
「室内の背もたれが焼け、室内外のドアノブが外れていた。店舗側の不手際で夫婦が室内に閉じ込められたとみられます」(全国紙記者)
都内で美容室を経営していた松田政也さん(36)と妻でネイリストの陽子さん(37)が犠牲となった。

「夫婦は重なるように倒れていた。サウナ出入り口のガラスには叩いた形跡が残り、政也さんの両手には皮下出血があった。最期まで助けを求めていた」(同前)
個室内には非常用ボタンがあったが、「受信盤」の電源が入っていなかったと判明した。受信盤のある事務室は事故当時無人。またドアノブのぐらつきも以前から指摘されていたという。
サウナの運営会社は取り調べにこう答えている。
「(受信盤に)今まで電源を入れたことはなく、触ったこともありません」
杜撰な安全管理が浮き彫りとなった今回の事故。サウナタイガーを運営する会社が「SAUNA&Co」である。2021年7月に実業家のA氏が創業した。
「A氏は40代後半。もともと、宝石や貴金属を訪問買取する『KUROFUNE』社を経営しています」(A氏の知人)
A氏は24年12月、SAUNA社の社長を側近のB氏に引き継いだが、
「B氏はKUROFUNE社の社長室長も務める。つまりSAUNA社は今も実質的に、A氏のKUROFUNE社を中心とするグループの一社です」(同前)
冒頭のX氏が勤務するのがKUROFUNE社だ。同社は25年11月に特定商取引法違反があったとして消費者庁から9カ月の業務停止命令を受けている。
「法令違反とされたのは『マッサージチェアはありませんか』などと消費者に買取のアポを取り付け、いざ訪問すると『アクセサリーとかも買ってます』と打診、断られても『絶対整理したほうが良い』と勧誘して、貴金属などを半ば強引に買い取る手法。うちの会社のメインビジネスは“押し買い”です」(X氏)
悪徳商法に手を染めるKUROFUNE社。更に社内では、A氏によるパワハラ的言動が横行していた。
社内コミュニケーションツールを確認すると、A氏は8月、訪問買取のアポを取るコールセンターの社員らをこう恫喝している。
〈お前ら仕事してんの? マジでアポ振れって 舐めてんのか仕事〉

社員たちは一斉に平謝りで反応する。
〈申し訳ございません。本数意識ししっかりアポ振ります〉
さらに同じ月にA氏は、ある地方の営業所も叱責。
〈やる気ないなら出ないでいいから 迷惑〉
社員はこう返す。
〈社長 申し訳ございません。やる気を結果で見せれる様日々努めます!〉
X氏は事故の要因についてこう語った。
「Bさんも含めていつもA社長の顔色ばかり窺うグループの社風です。利益追求のために安全面に気が回らず、事故を招いてしまったように思えてなりません」
A氏側に文面で質問したが返答はなかった。
警視庁は業務上過失致死の疑いで捜査を続けている。だが実態は、限りなく“殺人”に近い惨事だった。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年1月1日・8日号)