小泉進次郎農水相が2025年8月3日にXで、深刻な渇水に悩まされる米の産地の1つである新潟県南魚沼市のため池に、給水車で給水したことを報告した。これに、一部で「意味があるのか」といった趣旨の批判的な声が寄せられている。
ため池への給水車での給水は意味のないことなのだろうか。北陸農政局は、渇水への一般的な対策であり、今回の給水も現地の農家から要請があったと説明した。
小泉農水相はXで、貯水率10%まで低下したという南魚沼市の下出浦(しもいずな)ため池に、「ため池に給水車で注水」したと報告。給水している様子の写真や動画を投稿し、「できることは何でもやります」「雨が降るまで少しでも足しになるように現場とともに乗り越えます!現場に感謝」と伝えた。
この投稿に、ため池の大きさからすると給水車で足せる水量は少なすぎるのではないかとして、「焼け石に水」「これは『少しでも足し』にはならないし『出来ることをやった』うちにも入らない」「こんなんで何になるん?」といった批判的な声がネット上で寄せられた。一方で、「妥当な対策」だとする意見も上がっている。
実際にはどうなのだろうか。4日にJ-CASTニュースの取材に応じた北陸農政局農村振興部設計課の担当者は、渇水の際の対策として給水車での給水は「一般的に行われていること」だと説明した。
具体的な効果については、ため池の大きさや水の用途などにもよるため一概には言えないとしたものの、「農家さんも1滴でも水が欲しいという思いでいる状況」「何もせず指をくわえていることがもう耐えられない状況」での対策だと話す。今回の下出浦ため池への給水も、現地の農家の意向で行ったことだと説明した。小泉農水相の発案ではないという。
給水車で運べる水量は、一般的に2000から4000リットルといい、視察時は4000リットルの給水車を使用した。1回ではなく、何度か往復して給水したとする。
前出の担当者によると、農家が給水車を借りた際に補助金を出す制度やポンプの貸し出し、農水省の技術職員の相談などを行っているが、要請があれば国で手配した給水車での給水も行う。下出浦ため池については、現在稲に穂ができる時期であり、この時期の水不足は品質にも影響を及ぼすため、「一刻を争う」状況だったと給水車手配の理由を説明した。