「お堂まで道になっている場所は、最も水が溜まる時だと成人男性の背丈より深くなります。それが、8月のこの時期まで歩けるとは……。初めての経験です」
富士五湖の一つ河口湖(山梨県)近隣の50代の男性住民が語る。男性が驚くのもムリはない。掲載した写真のように、河口湖の水位が下がり浮き島にある六角堂まで地続きになっているのだ。
山梨県によると河口湖の水位は現在、過去10年の平均より120僂眥磴ぁそのため湖底がむき出しになり、六角堂と地続きになった。過去にも同様の現象が起きたことはあるが、長くても春先から梅雨の始まる前までの期間で、今年のように8月まで続くことはほぼないという。
湖畔から六角堂へ続く約150mの″道″は猛暑の影響でカラカラに乾き、草が生い茂る。人々が散歩を楽しむ姿も見られ、本来ここが湖底とは想像できない光景だ。
「6~7月の降水量が平年の7割弱と少なかったのが原因です。河口湖に限らず富士五湖全般で水位が下がっています。水が少ないために、ボート乗り場に係留できるボートの数が減るなどの影響が出ています」(山梨県富士・東部建設事務所吉田支所河川砂防管理課担当者)
酷暑と激減した降水量により、水位が低下しているのは河口湖だけではない。島根県出雲市を流れる斐伊(ひい)川は、一時ほぼ完全に干上がった。宮城県大崎市の鳴子ダムでは、31年ぶりに貯水率0%を記録し現在も渇水が続いている。全国的に深刻な水不足が起きているのだ。
気象庁は東北の日本海側と北陸地方で7月の降水量が記録的に少なかったと発表し、8月5日には群馬県伊勢崎市で観測史上最高の気温41.8℃を記録。背景には地球全体で急速に進行する温暖化がある。気象・気候ダイナミクスが専門の三重大学・立花義裕教授が警鐘を鳴らす。
「温暖化が進むと、高気圧の活動が活発化し大規模な干ばつや少雨が起きます。大干魃になればコメや野菜など農作物の不作や生活用水の不足はもちろん、川の水が減ることで工場機器の冷却が難しくなるなどの影響が出る。空気が極端に乾燥し、海外で常態化する大規模な山火事が日本でも頻繁に起きるかもしれません。温暖化により、全世界のあちこちで深刻な弊害が出始めているんです」
河口湖の渇水は単に一地方の現象ではない。地球があげる悲鳴の具現化なのだ。
『FRIDAY』2025年9月5日号より