6代目山口組の2次団体の組長らが、「アメリカン・ピット・ブル・テリア」という闘犬用の犬をリードでつながずに散歩させるなどしたとして警察に逮捕された。翌日には釈放されたようだが、かつてこの犬種は「殺傷能力のある凶器と同じ」などと指摘されたこともあり、逃げ出し事案なども各地で発生し、飼い主のモラルを問う声が上がったことで知られる。
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逮捕されたのは3代目司興業の森健次組長(75)と組員2人。
「組員2人とは3代目司興業の若頭補佐と幹部のことで、彼ら3人は4月下旬、名古屋市中区の事務所で飼っている犬を近隣の公園などでリードでつながずに散歩させるなどをしたということで、動物の管理に関する市の条例に違反した疑いがもたれていました」
と、社会部デスク。
森組長らが散歩していたのは「アメリカン・ピット・ブル・テリア」という犬種で、闘犬に使われることもあるという。放し飼いをやめるように注意されてもやめず、近隣住民からの苦情もあり、今回の逮捕につながったと報じられている。
3人が所属する司興業は1967年、現在の6代目山口組の司忍組長が設立した組織だ。6代目体制では若中を務める森組長は中京大応援団出身。特に芸能界に豊富な人脈を持つことで知られている。
逮捕はされたものの森組長は翌日、釈放されたという。
「名古屋地裁が勾留を認めなかったということです。検察はこの判断に対して準抗告を行ったようですが、却下された模様です」(同)
翌日に釈放されるレベルなら逮捕は行き過ぎではないかとの指摘がある一方、放し飼いや近隣住民からの苦情をスルーした点が事実なら、それを重く見ての逮捕だろうからやむを得ないとの意見もあるようだ。
「森組長がヤクザでなければ、あるいは6代目山口組の2次団体トップでなければ身柄拘束はなかったかもしれません。当局としてはいかに微罪であっても、組織弱体化のために何かしらの“身柄拘束事案”を常に求めているということはあります」(同)
「もっとも、今回の件は必ずしもやり過ぎとは言えない面も。まだ被害が出ていないからよいものの、過去のピット・ブル絡みの事案を振り返ると深刻な事態を招いていた可能性もあるとの判断を当局はしたのかもしれません」(同)
ピット・ブルは逃げ出して行方不明になればニュースとして取り上げられるほど危険な存在と見なされており、過去には小さな子供や赤ちゃんが襲われて亡くなったこともあった。「殺傷能力を持つ凶器と同じ」とされるゆえんである。
2022年には岐阜・各務原で散歩中のピット・ブルが通行人2人を襲ってけがをさせ、被害者の1人は耳を失った。重過失傷害罪に問われたパート女性に岐阜地裁は2024年、禁錮6月、執行猶予4年の判決を言い渡した。パート女性は散歩の際にピット・ブルのリードを適切に操作せず、自転車に乗っていた女性の右腕や左耳にかみつかせ、同居する祖父に散歩に行かせ、同様に自転車の男性の膝をかませ、けがを負わせた。祖父に対して適切な散歩の仕方を教えていなかったことが指摘された。
近隣にとっては脅威となりうるピット・ブルだが、そこを魅力に感じる人も少なくない。かつて5代目山口組の若頭補佐を務めた中野会の中野太郎会長も飼っていたとされる。「岡山にいる子分からプレゼントされたもので、中野会長は随分と可愛がっていました。私にも“世界一強い犬だ”と言っていたこともありました」
と振り返るのは、中野会長の元側近で元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現在は、NPO法人「五仁會」を主宰)。
「強さ」に惹かれる面々が多い業界で人気が高い犬種ということか。しかしながら組長、組員と猛犬とが連れ立っている姿が近隣に脅威を与えていたであろうことは想像に難くないところ。むろん、犬自身に罪はないのだが――。
デイリー新潮編集部