とある公衆温泉で、ドライヤーでアンダーヘア(陰毛)を乾かさないよう呼びかける注意書きが貼られているとして、SNS上で繰り返し話題になっている。
投稿を見た人からは「こんな人いるんや」「乾かしている人にしか分からない快感があるのかも知れない」など、さまざまな反応が寄せられている。
たしかに不快に感じる人も多いかもしれない。公衆温泉の脱衣室などで、このような行為をすることに法的問題はあるのだろうか。
また、店側が用意した注意書きにはどのような効力があるのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。
──ドライヤーでアンダーヘア(陰毛)を乾かす行為は違法ですか?
えっ、こんなことする人いるの?というのが第一印象です。流石に迷惑であることはたしかですが、法的に説明したいと思います。
結論から言うと、一概に違法とはいえません。
ただし、温泉施設やジムの更衣室などで、このような行為をして、周りの人に不快感や羞恥心を与える場合は、軽犯罪法(1条20号)に触れる余地があります。
また、具体的な状況によりますが、単に乾燥させようとするだけでなく、周囲に著しい性的羞恥心を与えるような行為といえるような場合には、迷惑防止条例の「卑わいな言動」にあたるとされることもありえます。
──このような張り紙に法的拘束力はありますか
法的拘束力そのものはありません。施設の利用規約の一部として扱える場合には、施設利用契約違反(債務不履行)に該当する可能性があります。つまり、「守らないと追い出される可能性」があります。ドライヤーで自由を得た代償は、退店という現実かもしれません。
──張り紙があるにも関わらず、陰毛を乾かしてしまった場合、店側はどういう要求ができますか?
基本的には、注意や退店命令、施設利用の禁止(出禁)です。
損害が出ていれば、損害賠償請求も可能ですが、「ドライヤー1分使用による営業損害◯円」という算定は難しいでしょう。
──陰毛を乾かす行為について、倫理的にどのように思われますか?
倫理的には、控えるべきでしょう。個室ならともかく、共用スペースでの行為は「共有空間の平和と調和に対する逆風」と見なされがちです。
「あなたにとって快適=みんなにとって快適ではない」ということになります。他人に不快なことはしないようにしましょう。
【取材協力弁護士】西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。事務所名:神戸マリン綜合法律事務所事務所URL:http://www.kobemarin.com/