NHK党の立花孝志党首をナタで襲撃し、殺人未遂容疑で逮捕された宮西詩音容疑者(30)が今月14日の犯行前に立花氏の街頭演説会を複数回訪れ、入念な下準備を重ねていたことが分かった。
「犯人に見覚えはない」と話した立花氏だが、先月27日の千葉県知事選の告示日に千葉・船橋駅前で行った第一声で、聴衆の中に白のパーカに犯行時と同じリュックサックを背負った同容疑者の姿が確認された。
記者が撮影した動画や写真には、立花氏がマイクを握った約5m離れた場所に同容疑者が演説前から待機している姿が写っている。立花氏はつばさの党の黒川敦彦代表や抗議のプラカードを持った男性から横やりを入れられる場面があったが、同容疑者は興味を示さず、会場全体の動きを見ているかの様子だった。
今月10日に兵庫・尼崎で行われた街頭演説会でも姿が確認され、犯行前に少なくとも2回下見し、進行やスタッフの動きなどを把握していたとみられる。
警視庁の調べに同容疑者は「Xやユーチューブで情報を得ていた」「他の議員を自殺に追い込むようなやつだからやった」「頭を目掛けて、ナタを振り下ろしたが、緊張して狙えなかった」と供述しているが、素性や生い立ちなどは依然、謎に包まれている。

自称無職の同容疑者は東京・杉並区内の閑静な住宅街にある築30年以上の1Kのアパートに住所を置いていた。「ロフト、トイレ、風呂付きで、洗濯機は置けない。外に共用のがあるが、使っている人はほとんどいなくて、近くのコインランドリーを使っている。2つの路線の駅まで徒歩10分ほどで行けるのに家賃は4万円ほどで、寝るだけならお得な物件」(アパート住人)
しかし、同容疑者の生活実態は確認できなかった。「ちょっと見覚えがない。警察にも聞かれたが、身長が高い(180センチ近く)とすれば特徴あるので、すれ違っていれば、記憶にあるはずだが…」(同住人)。騒音やゴミ出しなどの近所トラブルは特になく、近隣住民からも目撃証言は得られなかった。
現時点では単独犯とみられるが、尼崎までの下見や約6万円の閃光手りゅう弾を入手しているなど用意周到で、警察は協力者や背後関係を含めて、捜査に当たっており、全容解明が待たれる。