「政界のドン」と呼ばれた二階俊博・元自民党幹事長の後継者で、先の総選挙では落選した三男・伸康氏が夏の参院選に和歌山選挙区から出馬する。地元支援者は「最後のチャンス」と見ているが、伸康氏は本誌・週刊ポストが報じた不倫スキャンダル(2024年12月16日発売号掲載)を抱え、“二階王国”の再興は容易ではなさそうだ。
【写真】広島市内を不倫旅行する二階伸康氏。スレンダーで菜々緒似の美女・A子さんと2人でホテルを出る瞬間も。
本誌は、伸康氏が妻子がありながら30代の銀座のバーのオーナーママ・A子さんと交際し、同年8月に2人で広島に旅行していたこと、同10月の総選挙中には地元・和歌山で伸康氏の演説を聞く聴衆の中にA子さんの姿があり、A子さんはその夜、伸康氏が所有する和歌山市内のタワーマンションに宿泊していたことなどを報じた。
二階氏の地元事務所(和歌山県御坊市)で2月8日に開かれた後援会「新風会」の役員会で伸康氏は父・俊博氏をはじめ100人近い後援会幹部を前に不倫問題を含めて謝罪し、「落選後、衆議院を目指すこととしていたが、多くの支援者から今夏の参院選を目指すべきだとの声があり、参院選出馬を決断した」と話したという。
出席者によると、父の俊博氏は「じっと座っているだけでほとんど話はしなかった」というが、影響力はあったようだ。翌9日、自民党和歌山県連は参院選候補の選考委員会で伸康氏の擁立を正式に決定した。地元市議の1人が言う。
「とはいえ、窮余の策でしょう。総選挙では世耕弘成さんに惨敗して、衆院ではもう勝てないというのが地元での見方。和歌山で二階家の影響力を存続させるために、二階派の県議が働きかけて参院選での擁立にこぎ着けたようです」
県連関係者はこう言う。
「選考委員から伸康さんに『不倫報道があったけど、あれはどうなんや?』という質問があったそうです。伸康さんは『本妻とは正式に別れました』と説明したそうですが、いつ別れたのかについては、はっきりと答えなかったと言います」
9日の出馬表明会見に出席した地元記者によると、伸康氏は本誌の不倫報道についてこう釈明したという。
「『誤解を生んだままではいけないと思い、話させていただきたい。週刊誌の内容は元妻と別居し離婚の話し合いをしていた後のことで、その間他の女性に生活のサポートをどうしてもお願いせざるを得ない状況だった』とか、『そのことについては反省している』と語っていました」
そんな伸康氏の参院選出馬に地元の視線は厳しい。別の地元市議はこう語る。
「落選後に会った時、伸康さんから『選挙でお世話になった』とか、『不祥事を詫びる、申し訳ない』という言葉が聞けるかと思ったが、一言もなかった。生来持っている性格なのか、あの家に生まれたからなのか、落選も不祥事も全く意に介していない様子で、地元のイベント等があると大きな顔で国会議員や県議と同じ席に座っていますね」
後援会関係者もこう語る。
「昨年の総選挙は伸康さんの同級生たちが中心になって支援したが、動員された女性の同級生たちは不倫報道を受けて、裏切りだと怒っています。それでも彼がお詫び行脚したとは聞いたことがない。あれでは参院選も厳しいのではないか」
伸康事務所に今回の出馬や離婚について聞くと、「自民党県連拡大委員会の投票において、約3分の2の皆さまから参議院和歌山選挙区公認候補にご推挙いただきましたことを重く受け止めております。今後は、自由民主党が一致団結し、我が国、我がふるさと和歌山県の発展のために尽くしてまいりたいと思います。
なお、プライベートに関するご質問につきましては、以前にも取材にお応えしてきたとおり誠意を持って対応してきたところであり、それ以上についてはコメントを差し控えます」とした。
前途は多難だ。自民党県連の候補者選考で伸康氏に敗れた前和歌山県有田市長は世耕氏に近いとされ、次の参院選で和歌山選挙区に出馬する見方が有力だ。参院に転じても、先の総選挙の二の舞になりかねないわけだ。
「伸康さんは父親の威光で自民党公認を得たが、4期16年市長を務めた前有田市長は本来なら自民党公認候補にふさわしい実力者。女性スキャンダルを抱える伸康氏には手強い候補になるでしょう」(政界関係者)
父の俊博氏はどう見るか。直撃した。
──伸康氏が参院に転じた理由は?「それは本人じゃなきゃわかりませんね」
──父としてアドバイスしたのか?「ありません」
──伸康氏は離婚したと説明しているが?「そうですか。知りません」
──不倫相手だった女性とは今後、どうするつもりだと聞いているか?「そんなこと私が知っているわけないじゃないですか」
どうやら、父の怒りも解けていないようだ。
※週刊ポスト2025年2月28日・3月7日号