コロナ禍以降、生活スタイルの変化に伴って夫婦の時間が増えた結果、熟年離婚が相次いでいる。離婚の原因を紐解いてみると、夫婦関係のほんのささいな不満に根ざしていることも少なくない。
本連載では、離婚カウンセラーとしてこれまで約4万件もの離婚相談を受けてきた著者の新刊『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?』(岡野あつこ著)より一部抜粋・再編集して、夫婦関係におけるトラブル回避のためのノウハウをお届けする。
身近な人間関係に対するコミュニケーション技術は夫婦間の問題のみならず、職場や家庭、子どもや介護にまつわる悩みの解決にも役立つはずだ。
『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?』 連載第19回
『「愛人にマンションを買い与えた夫」なのに…離婚寸前の妻がどうしても夫一緒に“ゴルフ”に行きたかった打算的すぎる理由』より続く
LINEの使い方は意外と難しいものです。
面と向かって話せば問題なく伝わることでも、LINEで伝えようとすると、驚くほど真意が伝わらないのです。
LINEでは文章のやり取りが中心です。そのため、慣れていないとつい説明をはしょってしまいがちです。自分では伝えたつもりでも、相手には通じていない、ということがしばしば発生します。
送信ボタンを押すと、メッセージが即座に送信されてしまう点も注意が必要です。手紙なら書き終わってから封をして、投函するという時間があるため投函する前に思いとどまり書き改められるのですが、LINEだとそうはいかないので、つい感情的なメッセージを送ってしまって、後悔することがあります。
また、文字だけで伝えようとすると、無味乾燥で堅苦しくなりがちです。事務的な言葉遣いが増えると、感情が伝わりません。そのため、普通に伝えたつもりでも、まるで怒っているように見えることがあります。
絵文字やスタンプを使うと感情を表現できますが、使いこなすのは結構難しいです。むやみに絵文字を使うと文面が幼稚に見えてしまいます。ネットで「おじさん構文」「おばさん構文」と呼ばれる、あまり評判がよくない伝え方です。
ただ、そうしたデメリットがあっても、LINEは夫婦関係の改善においてとても便利なツールです。
離婚寸前の夫婦の場合、顔を合わせて話すことが難しいことも多いですが、そんなときでもLINEでのコミュニケーションはまだ可能であることも多いです。
また、ケンカしているときなどは、対面すると双方が感情的になってしまいますが、LINEだと比較的冷静に伝えられたりもします。
LINEでメッセージを送る際は、送る前に必ず何度も読み返すクセをつけましょう。
先に触れたように、LINEではメッセージが即座に送信されます。また、普段からリアルタイムで会話をするように使い、あまり考えず直感的につくったメッセージを送信する人も多いのです。
そのため、うっかり相手を傷つける、過度に批判的なメッセージを、そうと気づかずに送ってしまったりします。あるいは、相手の状況を理解せず、自分勝手なメッセージを連投して嫌がられることもあります。
本当に伝えたいことがあるなら、大事な手紙を書くときのように、下書きをして何度も確認してから送信することを徹底すべきです。
『離婚する夫婦はLINEに「この一言」を付け加えている…知らない間に夫婦関係を悪化させている「NGワード」』へ続く
離婚する夫婦はLINEに「この一言」を付け加えている…知らない間に夫婦関係を悪化させている「NGワード」