ドリンクの価格は店によって異なりますが、1杯500円以上することも珍しくありません。毎日のように外でランチをしていれば、ドリンク代だけで月に1万円以上かかる計算になります。無料で水を提供してくれる店もあるので、節約のために水を注文する人も多いでしょう。しかしたとえ水であっても、店側には少なからずコストが発生しています。例えば、水自体の費用に加えて、グラスを洗う手間や人件費、消耗品の費用など、実際にはさまざまな経費がかかっているのです。一方、ドリンクは店にとって大きな収益源となるものです。一般的に、ドリンクは食べ物よりも原価が安いため、利益率が高いといわれています。アルコールよりもソフトドリンクのほうがさらに原価が低く、利益率が高い傾向にあります。そのため、コーヒーやジュースなどのドリンク類を注文することは、店の経営を支えることにもつながるのです。さらに、ドリンクは食材と違って保存がしやすく、食品ロスが少ないという特徴があります。店側にとっても効率的かつ安定して売り上げに貢献してくれる商品だといえるでしょう。このような店側の事情を知っておくと、注文時の判断が変わるかもしれません。
無料の水を頼むこと自体は決してマナー違反ではありませんが、状況に応じた配慮が大切です。例えば、お店に長時間滞在するときは、席代も兼ねて店の利益のためにドリンクを注文したほうが良いでしょう。ほかにも、複数人で食事をしていて全員がドリンクを注文している場合には、周囲に合わせて自分もドリンクを注文するのがマナーだと筆者は考えます。その一方で、短時間で食事を済ませるときや、健康面を意識しているときは、水で済ませても問題ないでしょう。ただし、いくら無料だからといって、必要以上に水を注文するのはやめましょう。水の提供がセルフサービスではない場合、店員が何度も水を運ぶ必要があります。手間を取らせないよう、1~2杯程度にとどめるのが無難です。
食事に行った際、「飲みたいものがない」「お金を節約したい」など、さまざまな理由で無料の水を選ぶ人も少なくありません。「ドリンクを注文すべき」という周囲の意見が気になることもあるかもしれませんが、店で「1ドリンク制」などルールを設けていない限り、食事の際に何を飲むかは個人の自由です。飲みたくないドリンクを無理に頼む必要はありませんが、少しでも店の経営を応援したいと思う人は、ドリンクを頼むのも良いでしょう。また、友人との食事では、相手に合わせてドリンクを頼むことで、余計な気を遣わず、また相手に遣わせなくて済むという場合があるかもしれません。自分の考えを大切にしつつ、周りの状況やマナーにも配慮して食事を楽しみましょう。執筆者:山田麻耶FP2級