コロナ禍以降、生活スタイルの変化に伴って夫婦の時間が増えた結果、熟年離婚が相次いでいる。離婚の原因を紐解いてみると、夫婦関係のほんのささいな不満に根ざしていることも少なくない。
本連載では、離婚カウンセラーとしてこれまで約4万件もの離婚相談を受けてきた著者の新刊『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?』(岡野あつこ著)より一部抜粋・再編集して、夫婦関係におけるトラブル回避のためのノウハウをお届けする。
身近な人間関係に対するコミュニケーション技術は夫婦間の問題のみならず、職場や家庭、子どもや介護にまつわる悩みの解決にも役立つはずだ。
『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?』 連載第25回
『「妻がアジフライを作ってくれないのは、自分のことを愛してない証拠」…40代夫婦に訪れる“夫婦関係の落とし穴”とは』より続く
「ささいなこと」で行き違いが起きやすい状況の一つに、外での食事があります。食の作法やマナーの違いにイラッとしがちなのです。
私は焼肉店でケンカをしてしまうことがよくあります。
たとえば2人で焼肉に行った場合、私は一度に焼くのは2枚までにしたいんです。そうすれば、肉を食べているうちに、また新しい肉が焼けている、となるわけです。
なのに、一度に4枚も5枚も焼かれると、食べるのが間に合わなくて、焼きすぎになる肉も出てくるので、イラッとしてしまう。元夫がまさにそうでした。
なぜそんな焼き方をするのか、元夫に聞いてみたところ、「うちは兄弟が多かったから、こういう食べ方をしないと、自分の肉がなくなってしまう」と言っていました。
それはそれでよくわかります。でも、いまは2人で焼肉に来てるのだから、何も競って食べなくても……と思うわけです。
焼肉店でなくても、そもそも飲食店で頼みすぎる人は嫌なんです。やたら多く注文するくせに自分は食べずに周りにすすめてばかりの人っていますよね?人を気遣って頼んだつもりでしょうが、おしつけがましいというか、自分が頼んだものは自分で食べてほしい。
それでその人がお金を払うならまだわかるんです。お会計は私なのに、自分で勝手にどんどん注文する人もいる。頼まれてもないのに「みんなの分を」などと言われると、正直ムカムカしてしまう。
もちろん、別の考えの人もいらっしゃると思います。せっかくご馳走するんだから、食べきれないくらいたくさん頼んであげるほうがいい、という考え方の人もいるわけです。
でも、人のことに気を遣わなくていいから、自分が食べたいものを食べればいいと私は思います。要するにそういう人とは価値観が合わないのです。
ちなみに、鍋のときも私は「鍋奉行」です。具材を入れる順番があるので、絶対に人にはやらせません。
こんなちょっとしたことにも、人それぞれの考え方、好みがもちろんあります。
こうした嗜好や価値観や感覚が微妙にずれると人間関係はなかなかうまくいきません。だから夫婦関係を維持するのは本当に大変なことですし、お互いに努力して意見をすり合わせることが大事です。ときには妥協も必要です。
「妻がアジフライを作ってくれないのは、自分のことを愛してない証拠」…40代夫婦に訪れる“夫婦関係の落とし穴”とは