2023年1月、JR博多駅前で元交際相手の女性をストーカー行為の末、包丁で何度も刺し殺害した罪に問われた32歳の男の裁判で、検察と被告ともに期限までに控訴せず、福岡地裁が言い渡した懲役20年の判決が確定しました。
判決が確定したのは、殺人と傷害、銃刀法違反、ストーカー規制法違反の罪で1審で懲役20年の判決を受けた住居不定、無職の寺内進被告(32)です。

1審判決によりますと、寺内被告は2023年1月、JR博多駅近くで偶然会った元交際相手の川野美樹さん(当時38)につきまとい、包丁で少なくとも17回刺して殺害しました。
判決で、福岡地裁の冨田敦史裁判長は「みずからの好意が受け入れられなかったことに対する怨恨の感情があり、被害者についていった行為はつきまといにあたる」としてストーカー行為を認定しました。その一方で、「待ち伏せ」や計画性は認められないとして、懲役30年の求刑に対し、懲役20年の判決を言い渡しました。裁判で検察側は、寺内被告が川野さんの仕事が終わる時間に職場近くでおよそ3分間、立ち止まっていたことは「待ち伏せ」であり、ストーカー行為にあたると指摘していました。寺内被告は殺害については認めましたが、ストーカー行為については否認していました。
福岡地裁によりますと、期日までに検察側・被告ともに控訴せず、13日付で懲役20年の判決が確定しました。
福岡地検は控訴しなかった理由ついて「コメントはない」としています。弁護側によりますと、判決の直後、寺内被告は「被害者に申し訳ない。自分がやったことに対して当然だと受け止めている。被害者の冥福を服役する中で祈り続けたい」と話していたということです。