兵庫県芦屋市の小学校で女子児童がいじめを受け転校した問題で、保護者らが、芦屋市に損害賠償を求める訴えを神戸地裁に起こしました。提訴を受けて保護者は「何もしなかったら娘だけが色んなものを失って苦しんで終わりとなる」「後悔したくなかったので提訴した」などと話しました。 訴えを起こしたのは、芦屋市の小学校に通っていた児童とその保護者です。▼「地獄に落ちろ」悪口書かれたメッセージ見せられ不登校…転校に2021年兵庫県芦屋市の市立小学校で当時小学4年生だった女子児童が同級生から「死ね」「地獄に落ちろ」などと自分への悪口が書かれた携帯電話のメッセージを見せられ、不登校がちになりました。

母親は、校内でこの同級生が娘に接触しないよう学校に指導を求めましたが、対応してもらえなかったということです。その後も同級生が何度も近づいてくるなどして、娘は摂食障害になるなど体調が悪化。いじめから1年あまり経ち、小学5年の3学期に転校をしました。▼母親「学校って何もしてくれないんだ」 (娘がいじめ被害にあった母親)「学校は極力『いじめ』という言葉を使わずに話をしていたと思います。友達同士のトラブルと。学校って何もしてくれないんだと思いました」▼「重大事態認定」いじめ発覚から7か月後 この問題をめぐっては、体調が悪化してから学校が重大事態と認定して、第三者委員会が調査。去年12月に誹謗中傷の文面を見せたことなど5件のいじめを認定、学校がいじめ発覚から7か月後に「重大事態」と認定したことについて、欠席日数などから発覚のおよそ2か月後には認定すべきだったと指摘し、「いじめの対応は消極的だった」などと学校と市教委を批判していました。▼市の対応が遅れいじめが深刻化 保護者ら慰謝料求め提訴 保護者らは学校や市教委の重大事態の認定が遅れるなど、市の対応の遅れによって、いじめの被害が深刻化・長期化し転校に至ったなどとして、16日に市に対し慰謝料など計540万円あまりを求め神戸地裁に訴えを起こしました。▼娘は「先生を尊敬していたが…信頼しなくなった」 提訴後に会見を行った保護者は次のように話しました。 (会見出席の保護者) 「中学生となって、学校には通えるようになったが、病院にはまだ通っています。転校して終わりとは思っていない。提訴に至ったのも、何もしなかったら娘だけが色んなものを失って苦しんで終わりとなる。何かあったときに、あの時…と後悔したくなかったので提訴に至りました」 一方で、娘は未だに大人への不信感がなくならない現状があると話しました。 「大人は信用しないと言っていました。昔から先生を尊敬していたが、先生を信頼しなくなった。転校してから、新しい学校でもしていて、転校先の先生も娘の自信を取り戻そうとしてくれて、少しずつ信頼を取り戻しているなと感じました。やっと、何が起こっていたか明かになることでほっとしていると彼女は言っていました」 提訴を受けて芦屋市側は「訴状の中身を確認しておらずコメントできない」としています。