社内システムを悪用し、落とし主に成り済まして犯行を重ねていた。
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東京メトロが保管していた乗客の遺失物をだまし取ったとして、同社元社員の米田陽斗容疑者(25)が詐欺の疑いで警視庁下谷署に逮捕された。
犯行当時、東京・飯田橋駅務管区所属の駅員だった米田容疑者は4月28日午前11時ごろ、勤務地近くの東京メトロ飯田橋駅構内にある「お忘れ物総合取扱所」を訪れ、落とし物として保管されていた現金約16万円が入った持ち主不明の財布を受け取った。
「勤務時に社内の検索システムを使い、持ち主が分からない現金やICカードが入った財布やキーケースなど、落とし物の特徴を調べていた。取扱所の窓口で他人名義の運転免許証を身分証として提示し、他人のフリをして遺失物を受け取っていた」(捜査事情通)
その後の社内調査で米田容疑者の犯行が発覚。本人は計6件、23万5458円の現金を詐取したことを認め、5月20日に退職した。
■うつむいたままで…
警察の調べに対し、「お金が欲しかった。家具の購入や飲み会の費用などで一気に手元の金がなくなり、やってしまった。昨年、運転免許証を拾い、悪用を思いついた。自分だとバレないように使った」と供述している。
落とし物が見つかれば、普通はうれしいものだが、米田容疑者の場合、遺失物を受け取る際も、うつむいたままで喜んだりしなかった。その様子を窓口の社員は見逃さなかった。
「取扱所の社員が遺失物を返還した際、挙動不審な点が見受けられたため、監督者が社内のシステムで返還者の記録と社員の遺失物検索履歴を調べました。たまたま、同じ名前の人物に過去にも複数の遺失物が返還されていたことが分かった。そのすべての遺失物を当該社員が検索していた記録が残っていたため、おかしいなということで調査を開始。犯行2日後の4月30日、返還者のセキュリティーカメラの映像を確認したところ、元社員がお客さまを装って返還請求に来ていたことが判明しました。このような悪質な行為は許されず、厳しい処分をしております」(東京メトロ広報部担当者)
一時の小遣い欲しさで「落とし物」に手を付け、安定した給料が保障される職を失うとは、マヌケとしか言いようがない。