神奈川県真鶴町の松本一彦前町長が2020年9月の町長選などで選挙人名簿を不正利用したとされる問題で、神奈川県警が松本氏ら2人を公職選挙法違反などの疑いで書類送検していたことが、捜査関係者への取材で判明した。町が22年9月に松本氏と町選挙管理委員会の元書記長を刑事告発していた。
神奈川・真鶴町長が失職 リコール住民投票で賛成過半数
告発状によると、松本氏は町職員だった20年2月、立候補を予定していた町長選に利用しようと町役場の文書保管庫に侵入し、選挙人名簿を持ち出して複写。さらに21年7月、元書記長と共謀し、複写した名簿などを町議選立候補予定者3人に配布して選挙の自由を妨害したなどとされる。
告発状が提出された当時、松本氏の代理人弁護士は名簿を持ち出した点について「戻す意思があり、約1時間で返却した」などとし、大半は犯罪として成立しないと主張していた。
松本氏は20年9月の町長選で初当選。問題が発覚し、21年11月に不正利用を認めて辞職したが、翌月の出直し町長選で再選を果たした。しかし23年9月に解職請求(リコール)の賛否を問う住民投票が実施され、賛成多数でリコールが成立し、失職した。【横見知佳】