札幌市の繁華街・ススキノのホテル客室内で会社員男性(当時62歳)を殺害し頭部を切断したとして、同市厚別区の無職、田村瑠奈被告(30)ら親子3人が殺人などの罪で起訴された事件で、死体遺棄と死体損壊のほう助の罪に問われた母浩子被告(61)は4日、札幌地裁(渡辺史朗裁判長)で開かれた初公判で「犯罪を容認するつもりも手助けするつもりもありませんでした」と起訴内容を否認し、無罪を主張した。
【写真まとめ】男性の頭部がない遺体が見つかったホテル
起訴状によると、瑠奈被告は2023年7月1日午後11時15分ごろ、札幌市中央区のホテル客室内で、北海道恵庭市の男性の首を折りたたみナイフで複数回刺して殺害、首を切断した。2日未明、頭部をキャリーケースに入れて、父親で精神科医の修被告(60)が運転する車で自宅へ持ち帰った。浩子被告は、頭部を自宅に隠したり、頭部を損壊する様子を撮影したりするのを容認していたとしている。
弁護人は「浩子被告にはいかなる犯罪も成立せず、無罪」と主張。死体遺棄ほう助罪について「瑠奈被告が頭部を自宅浴室に置き続けたことを認識しながら生活していた」と認める一方、「浩子被告は瑠奈被告が頭部を隠す意思を持っているとは思っていなかったため、隠匿を容易にする意思はなかった」と述べた。瑠奈被告が頭部を損壊する様子を修被告が撮影するのを容認したとする死体損壊ほう助罪についても「(夫の修被告に)具体的に撮影を依頼したわけではなく、浩子被告に同罪は成立しない」と主張した。
3人は23年8月から6カ月に及ぶ鑑定留置の結果、刑事責任能力を問えると判断された。今年3月、瑠奈被告は殺人、死体損壊、死体領得、死体遺棄の罪で、修被告はこれらのほう助の罪で起訴された。両被告の裁判員裁判の期日は見通しが立っていない。【伊藤遥、後藤佳怜】