靖国神社で“立ちション”と「落書き」の狼藉におよんだ後、まんまと中国へ逃げ帰った男は「福島第一原発の処理水放出への抗議」だと自身の行為を正当化。しかし男の素顔は日本でいう“迷惑系ユーチューバー”に過ぎず、おまけに一連のパフォーマンスの裏には「呆れた動機」が潜んでいるという。
***
【写真を見る】堂々と東京メトロを利用する「落書き男」と中国へ帰国後に「ドヤ顔」を見せた“噴飯”画像
東京・千代田区にある靖国神社の「社号標」と呼ばれる石柱に“立ち小便”する素振りを見せたかと思えば、ポケットからスプレー缶を取り出し、赤い文字で「Toilet(トイレ)」と落書き――。
中国国内のSNSで出回っている犯行の様子をおさめた動画の内容だ。現在、警視庁が器物損壊事件として捜査中だが、動画に映る男はすでに中国に帰国したことが分かっている。
「犯行時刻は5月31日の夜10時頃で、落書きした男は翌1日未明の便で撮影者とともに上海へ向け出国したことが確認されています。男が入国したのは5月29日未明であることから、今回の動画撮影のためだけに来日したと見られています」(全国紙社会部記者)
捜査関係者らによれば、落書きした男の名前は董光明といい、中国国内のSNS上では「鉄頭」のハンドルネームで知られた存在という。「鉄頭」の動画を以前からチェックしてきた中国人留学生がその“素顔”をこう明かす。
「彼は『抖音(中国版TikTok)』などを中心に動画を投稿するインフルエンサーとして一部で有名な存在です。『鉄頭懲悪揚善』などのニックネームを用い、ネットでの“偽造品”など不正を疑われる商行為を撮影して告発する、日本でいう暴露系や私人逮捕系ユーチューバーに近い存在。鉄頭はみずからを『正義の使者』と名乗り、彼を『勇気ある戦士』などと称える若者が一定数いるのは事実です」(中国人留学生)
“鉄頭”は日本のメディアの取材に対し、「日本政府が核汚染水の排出を許可したことを知ってから怒りがおさまらない」と、昨年の東京電力福島第一原発に溜まった処理水の海洋放出に対する「抗議」だったと主張。続けて「違法なことをやった認識はない」などと強弁してみせた。
中国政府も3日、在外中国人に対し「現地の法律・法規を遵守」することを求めた一方で、「靖国神社は日本の軍国主義による対外侵略戦争の精神的な道具であり、象徴だ」と指摘。まるで自国民の犯罪行為を擁護するような談話を発表した。
習近平政権が今回の件への直接的な言及を避ける一方で、中国のSNS上では“鉄頭”に対する批判の声も上がっているという。
「以前から鉄頭については『秩序の破壊者』や『無法行為を助長する』などの批判がくすぶっていました。実際、今年2月には動画の内容が公序良俗に反するとして中国国内のSNSアカウントがすべて削除された“前科”もある。有名インフルエンサーといっても“キワモノ”や“イロモノ”に分類されるタイプに過ぎず、今回の件でも『よくやった』との声がある反面、『中国人の恥』や『久しぶりに名前を聞いたと思ったら、今度は日本で迷惑行為か』など否定的な意見も少なくない」(前出・中国人留学生)
さらに動機についても、その「不純さ」を指摘する声が――。
「鉄頭は過去、“自分の認知度を高め、フォロワー数を増やすことで、彼ら(フォロワーなど)に自分が推奨する商品などを販売する”といったビジネス構想を語り、過激な動画を投稿し続けるのは“それを実現するための手段”とも取れる発言をしたことがある。つまり『結局は自分のカネ儲けのためだろ』と、彼の行動を冷めた目で見ている中国人のほうが多いというのが実感。ただし中国当局が鉄頭を処罰することがないのは明白で、一部の過激インフルエンサーにとって、日本で行う迷惑行為は“やったもん勝ち”だと再認識されています」(同)
再生数やフォロワー数稼ぎのために来襲してくる“メイワク中国人”への備えが必要か。
デイリー新潮編集部