「割引するから高評価を」などとグーグルマップの口コミにステマ投稿を依頼。東京都内の病院が、初めての違反認定を受けた。
今回、消費者庁から処分を受けたのは、大田区の商業施設の中にあるクリニック。
7日午後3時から行われた消費者庁の記者会見。消費者庁の表示対策課・口ノ町達朗さんは「インフルエンザワクチン接種のために来院した方に、口コミ投稿欄における星5あるいは星4の投稿を依頼したと」と話した。
ネット上などで広告であることを明らかにせず、口コミを使って宣伝を行うステルスマーケティング。
東京・大田区の「マチノマ大森内科クリニック」がこの“ステマ”口コミを行ったとして、運営元の医療法人社団「祐真会」に対して、再発防止などを求める初の行政処分が出された。
2023年10月、このクリニックはインフルエンザワクチンの接種に来た人に「グーグルマップの口コミに星5つ、または星4つの高評価を投稿したら接種費用を割引する」などと依頼。少なくとも45件の口コミが行われたとしている。
このクリニックの口コミ欄を見ると、全体の評価は星1つと星5つが多く両極端な印象。
その中で星5つの口コミだけを見ると、「インフルエンザの予防接種が安かったです」「(ワクチン接種が)他の病院より断然安い! ビックリ価格! 受けなきゃそんそん笑」などのワクチン接種に関する投稿が多くみられた。
一方で口コミの中には、「〈星5の理由〉ワクチン接種時に『Googleに星5のレビューを投稿すればさらに550円OFF!』と案内があったので小銭に目がくらんで投稿しました。内緒ですよ!」という投稿もあった。
2024年10月、景品表示法が禁じる不当表示の対象にステマが指定されて以降、消費者庁が措置命令を出すのは初めて。
消費者庁表示対策課 上席景品・表示調査官 口ノ町達朗さん:今回の投稿を見ても、それが『ステマ投稿』であるかを判断するのが困難。つまり明瞭にはなっていない
このクリニックの利用者は「割引で医者が客を集めるのは違うんじゃないか。病院でそういうことがあったら信用できないなと」と話す。
消費者庁は、今回の事案は「一般の人がステマに巻き込まれた事案」としている。