CBCラジオで放送されている『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」では、リスナーから届いた法律に関する疑問やお悩みに対し、オリンピア法律事務所の弁護士が回答しています。5月1日の放送では、マンションの隣人トラブルに関する相談に対し、原武之弁護士が回答しました。
今回、取りあげられたおたよりは次のとおりです。「ご近所トラブルについての相談です。うちのマンションの隣の方についてですが、『洗濯物が風で飛んでくるから洗濯物に名前を書いておけ』『もうベランダに干すな』とか、ちょくちょく管理会社にクレームを言ってきます。その都度『干す際には気をつけるように』と貼り紙が掲示されます。

今のところ管理組合としてはベランダに干さない規約もなく、個人間で任されている状況です。……と、ここまではよくある話ですが、問題はここから。困ったことがありまして、その住人がスマホをかざし、動画を撮ってたりするんです。私はその人の逆の方角なので、まず洗濯物が飛んでいくことはないのですが、ある時、私の方に向かってスマホで動画を撮っているようでした。住人の中には女性もいるので、それを知ってからベランダには干さなくなった方もいます。大ごとにする気持ちはないのですが、動画を撮るのはプライバシーの侵害に当たるのではと思うのですが、どうなのでしょうか?かなり神経質な方のようです」(Aさん)
まずはベランダに自分の物を干すことについて、制限がかかるものなのかどうかという話があります。ベランダやルーフバルコニーで自分の物を干すのは自由だと思われるのですが、実はベランダなどは自分のために占有して使っているものの、基本的には共用部分なのだそうです。そのため、補修する際も個人でお金を出すわけではなく、共有部分として扱われます。ただ、ベランダの使用に関する法律や条例があるわけではなく、問題が発生すれば行政が指導することはなく、マンション管理組合の自治に任せる内容となります。もし、隣の人が「ベランダに物を干すな」と言ってきても、管理規約で禁止されていなければ従う必要はなく、あくまでもお願いベースとなるとのことです。
ただ、今回の問題はスマホで勝手に動画を撮られているということ。原「これは当然、肖像権とかプライバシーの侵害になるので、のぞき込むような撮り方をすると当然違法となりますよね」では、どのように解決すれば良いのでしょうか?原「管理組合や理事長さんに言って間に入ってもらうとか、最初は穏便にということだと思うんですけどね」それで解決できない場合は、次のステップということになります。原「まずは証拠が大切なので、どういう場合に撮ってるかわかるように、ベランダに監視カメラを付けるしかないかなと。あとはのぞき込むような形がいけないので、隣の部屋に向いて映すのはプライバシーの侵害ですから、自分のところのベランダに監視カメラを付けとけば映るということですよね。その証拠が欲しい」ベランダで単に外の風景を撮る分には問題がありませんが、やはり勝手に人の家や人自体を映すのはよくないことで、まずはダミーのカメラで警戒させるというのも良いかもしれないとのことでした。(岡本)
北野誠のズバリ2024年05月01日14時13分~抜粋(Radikoタイムフリー)