BBQやキャンプを楽しむ人たちが増える季節が到来。家族や友人たちと火を囲みながら、おいしいものを食べたり、飲んだりする時間はかけがえのないものです。
【写真】みんなでBBQ、おすすめのファッションはこんな感じです
そんななかネット上で提案されたBBQファッションのワンピースやロングスカートはアリかナシかとSNSで話題に。「おしゃれ」「短めのスカートよりも肌を日焼けや虫から守れるのでは」という声もありましたが、「BBQを手伝う気がないと思ってしまう」「危険!」という意見が続出。
はたして、何がいけないのでしょうか? 夫婦でアウトドア情報を発信する、ゆとりキャンプ(@yutoricamp2912)さんにその理由、またアウトドアでの注意点を聞きました。
夫婦で毎月BBQをしているゆとりキャンプの妻・なぎさんがアウトドアに不向きな服としてまず挙げるのがワンピースです。
「ワンピースは、1枚でコーディネートも完成するし、かわいらしさもあります。ネットなどでもアウトドアに着ていきたい(持っていきたい)アイテムとして紹介されていますが、スカートの裾が舞い上がって着火してしまうと大やけどを負うことになります。特に、化繊のワンピースは絶対にNG。火の近くにいない場合でも、火の粉が飛んでくると生地に穴が空いてしまいます」。
同様の理由でチュニック、ロングスカートなども避けて欲しいと提案。「基本的に、風に煽られてひらひら揺らめくものはやめた方が良いです。袖が長い服、パフスリーブや袖口にリボンがついているような遊びのある服装も袖から引火することがあるし、汚れるのでおすすめはしません」。
さらに、肌の露出が多い服もNG。ノースリーブやオフショルダー、クロップドトップス、ミニスカートなどは、火の粉によるやけどの危険、虫刺されや日焼けによる肌のダメージもあるとのこと。「気温が高い日は、タンクトップ姿で火を見る男性が増えますが、肌はさらさない方がいいことを知って欲しい」と、男女に向けて避けたい服を以下のように提案します。
《BBQなどのアウトドアで避けたい服》●ワンピースやチュニック、ロングスカートなど風になびきやすい服●引火する事故を避けるため、紐の長いパーカや装飾のある服●ポリエステルやナイロンといった化学繊維の燃えやすい素材の服●ノースリーブ、ショートパンツなど肌の露出が多い服●スズメバチなどの蜂が反応しやすい黒い服●虫が寄ってきたりする可能性があるため、甘い匂いが強い洗剤、柔軟剤で洗った服(同様の理由で、香水を吹きかけた服)●汚れが目立ちやすくなってしまう、白い生地や淡い色の服●川辺での水遊びも想定する際は、水に濡れて重くなり乾きにくい、綿素材、デニム、厚手の生地のボトムス
また素材選びも大事とのことで、なぎさんも「燃えにくい素材のジャケットを着て調理をしていたのですが、内側で使用している化繊素材が不意にコンロに触れてしまって、ジャケットの内側の化繊が溶けてしまったことがあるんです」と苦い経験を持っています。
ゆとりキャンプのサイト内で「ワークマンには防融加工の服がある」と触れる通り、ワークマンでは本格的なアウトドアシーズンに向けて、キャンパーや猟師さんらとの協力のもと、キャンプやアウトドアにおすすめのウェアを開発。
火の粉が飛んでも燃え広がりにくい綿100%素材ウェアや火の粉や飛び火による穴あきを防止する防融加工ウェア、肌がむき出しにならないメッシュ素材のアウター、虫を寄せ付けにくい防虫加工の長袖Tシャツなどメンズ・レディス・ジュニアで取り扱っています。
「自然の中で解放感とその場の空気を味わいながら、食事できることが何よりの魅力です。私の主観で表現すると、外で食事をするのはサウナの「整う」の感覚に近いものがあるんです」とBBQをはじめとする屋外での食事の魅力を語るなぎさん。
普段手に入れられない食材や赴いた先の特産物などを、友達や家族とテーブルを囲みながらゆっくりと堪能する時間は何ものにも代えがたいとも。
そんな、より良い時間過ごすため、BBQなどのアウトドア活動をする際には以下のことに配慮を。「BBQなどアウトドアでの食事には関係ないように思える内容も含まれています。でも、私たちキャンパーは常にこれらを念頭にいれながら荷物の整理やレイアウト、準備などをしています」と教えてくれました。
【事前にしておきたい準備】■ガスや木炭など燃料の取り扱いと保存方法の確認■火を使用する場所やゴミの処理方法など、BBQなどを行う場所のルールの確認■野外では紫外線疲労になりやすく、飲酒すると脱水状態になりやすいため、熱中症対策や、日よけのための準備■生鮮食品を保冷(クーラーボックスで10度以下)するため保冷剤の準備、冷えがキープできるように余分な隙間を作らないように。外気が暑いと、クーラボックス内が十分に冷えているか判断しづらいので注意、配置するときは日陰に■複数人で行くときは、キャンプギアや食材の忘れ物、またかぶりがないように荷物の割り振りを決めておく
【現地ではこんなことにも注意を】■天気予報だけではなく、現地の空模様や気温を逐次チェックする。落雷などの急な悪天候、突風、川の増水などに注意■野生動物に注意(例:野良猫、たぬき、カラス、トンビ等)。食材を出しっぱしにすると動物が取りに来たり、餌がある場所と認識してしまうため。餌付けは当然ダメ■窃盗に注意。車上荒らしにあわないよう荷物を取り出す度に車の施錠。キャンプギアや貴重品を放置しないように■火気や刃物はもちろん、川辺などを含めて自然や、誘拐などの危険にさらされないように子供から目を離さない■隣人グループとのトラブルを避けるため、音楽の音量の調整や騒音を出さないように■発火する可能性があるため、車内にガス管やライター、バッテリーを置きっぱなしにしない
「BBQやアウトドアを正しく楽しむためには、正しいやり方、正しいルールで行う必要があります。はじめて使う道具は説明書を必ず読み、訪れるキャンプ場の規約は必ず確認する、天気、道具、立地、など事前の準備を怠らないようにしてください。自分たちが楽しいだけじゃなく、その場を利用している人や周りの動植物含めて気に掛けるようにしてほしいです」
毎年のように発生するBBQによるやけどやアウトドア活動における事故に対し、消費者庁でも火の取り扱いや行動についての注意を呼びかけています。今年のGW前半は夏日も予想されるとあって、特に注意したいのは、夏についての注意事項として挙げられる「冷却スプレーや制汗スプレーに火は厳禁」ということ。
「昔はフロンガスなどの不燃性ガスが使われていましたが、オゾン層保護のため、現在は液化石油ガスなどの可燃性ガスに変わっています。使った直後にたばこに火を付けたり、密閉空間で使用した後にライターを付けたら引火した、などの事故例が報告されています」(政府広報オンラインより抜粋)と、涼むために良かれと思ったことが事故につながる可能性を示唆します。
事故を招きかねない危険な振る舞いは、自分だけではなく周囲の人をも巻き込む可能性があります。BBQに出かける前に、その服装で良いのか?危険につながる可能性は取り除いているのか?今一度見直しを。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子)