この日本で株式投資への注目度が高まっている。2月22日には東京株式市場でついに34年間不動だった日経平均株価の最高値が更新、「失われた30年」を取り戻すという議論が現実味を増し、活発化している。
そんな空前の株式活況のさなか、発売前であるにも関わらず『個人資産800億円超「伝説の日本人投資家」が明かした「200万円持っていたら、何に投資すべきか」』の記事を皮切りに爆発的な注目を集め、Amazon書籍ランキングでは連日1位、すでに3度の重版で部数6万部に達している投資に関する書が存在するという。「投資の世界で知らない者はいない」といわれる「伝説の投資家」、清原達郎氏の『わが投資術 市場は誰に微笑むか』だ。
清原達郎氏は2005年の長者番付で、サラリーマンにもかかわらず1位にランクイン。個人資産は800億円超、運営したK1ファンド(タワー投資顧問の旗艦ファンド。日本株のロング・ショート運用を行う)では、通算で93倍という驚異のパフォーマンスを叩き出した。
その後、ステージ4の咽頭がんの手術などを経てヘッジファンドの運営から引退することを決意した清原氏。しかしその際、多くの顧客から「勝手にやめてもらっては困る」と苦情を受けたという。そこで『わが投資術 市場は誰に微笑むか』から一部抜粋して、清原氏が体験した驚愕のエピソードをご紹介する。
最後まで残ってくれたお客さんにはパフォーマンスで頑張れたおかげで感謝してもらいました。でも、感謝の気持ちが行き過ぎた人もいたみたいで。
私は咽頭がんの手術の後、大量の痰に悩まされています。そのためティシュをいっぱい使うのですが、会社の物置からティシュペーパーの箱を持ってきたときのことです。
なんか重たいなあ、と思って箱を開けたらびっくり。500万円のピン札が入っていたのです。お客さんからいただいた土産物の中に混じっていたようです。
もちろんヤバいと思って犯人を見つけだし、すぐに返却しました(すみません。純粋に善意でやっていただいたことなのに。気持ちだけで十分です)。お客の名前は守秘義務の観点からもちろん明かせません。でも、思いましたよ。こういうことは「大岡越前」や「必殺仕事人」でよくありますよね。廻船問屋が悪代官に小判を菓子箱に入れて渡すって(材木問屋と作事奉行というのもありますね)。
今は菓子箱の代わりにティシュペーパーの箱になっていたのですね。使い古しの紙幣だと箱が膨れ上がって不自然になるけど、ピン札だと500万円分がティシュの箱にピッタリ収まるんです。確かにこれなら、料理屋で業者が政治家に金を渡すところを週刊誌に撮られても大丈夫かもしれません。
それに、ティシュペーパーの箱2つで1000万円ってわかりやすくて便利なのでは。政治家が「それじゃあ足りないよ」と思ったときには「最近、鼻水がひどくて」とか言うのですかねえ。「しまった足りなかったか」ということで、業者はさらに一箱さっと差し出すのでしょうか。「どうぞこれをお使いください」とか言って。「うん。鼻水が止まったみたいだわ。ははは」みたいなノリで。
(中略)
お客さんはびっくりしていて、口に出しては言わなかったものの「お前なあ。俺の許可なく勝手にやめるなよ!」という感じでしたねえ。スイスのプライベートバンクとオンラインミーティングした際にはこう言われました。
「やめるならお前以上に優秀なヘッジファンドを探してこい!」
「あんた金融のプロなんだから自分で探してくれよ」と言ったのですが、「お前が見つけてこい。お前の義務だ」とか言われまして。
実はこうなることを予想していくつかの和製ヘッジファンド(日本人の運用するヘッジファンド)とはコンタクトしていました。しかし、円建てのどのヘッジファンドもハードルレートがゼロなのです。
ハードルレートとは成功報酬をもらうためには最低このぐらい儲けてくれよ、という基準です。我々のファンドのハードルレートは3%でした。運用フィーが1%かかるので4%以上儲けないと成功報酬はゼロです。ハイウォーターマーク(損を取り返すまでは成功報酬は出ない)もあるため、初年度リターンゼロ(1%は儲けたことになりますが)、2年目もゼロだと、3年目には1.03の三乗で9.3%以上儲けないと成功報酬は出ません。ところがハードルレートゼロだと、1、2年目がゼロリターンだとしても、3年目にわずかでも儲かると成功報酬が出てしまうのです。
ハードルレートは通常短期金利に近いところに設定されるため短期金利がゼロの日本でハードルレートがゼロという理屈もわからないわけではありません。
しかし、日本株の運用において税引きベースで2~3%の配当利回りのポートフォリオを築くことはとても容易であり、これは「とんでもないボッタくり」です。何の努力をしなくても成功報酬がもらえるのはヘッジファンドとして正しい姿ではないと思います。だから私は、他の和製ヘッジファンドを顧客に勧めるのをあきらめました。
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