2025年大阪・関西万博開催を巡り、新たな火種が次々と浮上しています。建設業界のトップが会見で異例のダメ出しを行ったその訳とは。
大阪・関西万博開催まであと411日。
開催に向けて工事が進むなか、現場から疑問視されているのが、万博のシンボルを巡る問題です。
会場の主要部分を囲むように建設されている万博のシンボル「大屋根リング」は、高さ12メートル、内径およそ615メートル、1周およそ2キロにも及ぶ世界最大級の木造建築物です。しかし、このリングが完成すると邪魔になり、「パビリオン建設に遅れが生じる」と建設業界のトップが懸念を示したのです。
建設業を営む大阪府民からは、「(機材や資材が)狭いから入らないとか言っていたね」「普通は分かりそうなものやな。アカン」という声が聞かれました。
建設費350億円のリングは、6割ほどが完成しています。一方、海外の約60カ国が独自で建設するパビリオンは、まだ5カ国しか着工していません。
万博のシンボルが工事に支障をきたす可能性について、日本総研関西経済研究センターの藤山光雄副所長は「万博協会と建設業界の連携がうまくとれていないのでは」と指摘しています。
さらに、この週末、パビリオンの空調設備についての課題も明らかになりました。
「省エネルギー」を理念に掲げている今回の万博では、エネルギー消費を効率化するため、会場全体の空調を集中管理するシステムの導入を予定していました。
ところが今回、一部の国のパビリオンに、個別の空調を設けることを万博協会が認めたというのです。
集中管理システムを扱う業者の確保が難しくなったことが原因だといいますが、個別空調が増えれば、「省エネ」という理念から遠ざかる可能性があります。
また、およそ2億円かかる会場のデザイナーズトイレにも大阪府民からは、 「2億円かかるんですか、それ高すぎでしょ」、「2億円、そのお金どっから出すんや!税金でしょって」といった批判の声が上がっています。
会場建設費は、資材価格の上昇などが原因で、当初想定の2倍近くになっています。こうした状況について、藤山副所長は「コストを削減できるところもあると思いますので、そうしたコスト削減の努力をこれからも引き続きやりつつ、これ以上コストが増えないようにするというのが重要だろうと思います」と述べました。
(「グッド!モーニング」2024年2月27日放送分より)