交通事故の原因のひとつに「自然発車」が挙げられます。 この自然発車とは、降車後にクルマが勝手に動いてしまう現象のことですが、なぜ勝手に動いてしまうのでしょうか。 また、自然発車による事故を防ぐには一体どんな点に注意すれば良いのでしょうか。
自然発車の主な原因は、“サイドブレーキの引き忘れ”などの「ブレーキ操作の誤り」です。
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例えば、「傾斜のある場所でサイドブレーキを引き忘れてしまい、降車後にクルマが勝手に動き出してしまう」といったことが起こっています。
一方で整備不良や環境が問題で起こった「自然発車」も少数確認されているものの、その大半は「ブレーキ操作の誤り」によって発生しています。
交通事故総合分析センターが公開している「交通事故分析レポート」によると、2009年から2018年の10年間で、自然発車による交通事故が2352件あり、このうち162件が死亡事故に発展。
とくに近年になって自然発車による死亡事故が増加傾向にあるとのこと。
そのうち、車体の重たい貨物車での死亡事故割合は乗用車の約1.5倍(91件)ですが、一方で乗用車のなかでは普通車と軽自動車が約89%(55件)を占めており、比較的車体が軽いクルマの事故件数が少ないわけではありません。
また、自然発車を原因とした死亡事故で多いのが「自然発車したクルマを止めようとしてひかれたり、壁・柱に挟まれたりする」といったケース。
このようなケースでは運転手が犠牲になることが多く、重傷事故も少なくありません。
そして自然発車による交通事故を起こしたドライバーは、免許取得から10年以上経過した人が多く、年代では60代が最多です。
自然発車による事故は、先述のようにブレーキ操作を誤るなど、人的要因がほとんど。
そのため、自然発車を防ぐには「シフトをパーキングに入れる」や「サイドブレーキを引く」といった操作をしっかり意識することが重要になります。
MT車の場合は、平地や下り坂では「リバース」に入れ、逆に登り坂であれば「1速」に入れましょう。あわせてタイヤ止めを使うことも有効です。
「平坦だから大丈夫」と思っても、必ずシフトをパーキングに入れ、しっかりとサイドブレーキを引きましょう。
「交通事故分析レポート」もよると、急坂よりも“ゆるやかに傾斜している道”で自然発車は多く起こっています。
平坦に見えても、実は坂道という場所も珍しくありませんので油断は禁物です。
また、万が一自然発車が起こってしまった場合、決して無理に一人で止めようとせず、クルマが勝手に動いてしまっていることを周りに伝えて、被害が拡大しないようにすることも大事です。
自然発車は、ドライバーだけでなく他人も巻き込む事故につながる可能性のある危険な現象です。
「ついうっかり」が重大な事故になるため、万が一のことが起こらないよう、普段から停車時の操作について十分に注意しましょう。