広島市中区の住吉神社(森脇宗彦宮司)では、イワシ1000匹の頭を焼いて臭気と煙で厄を払う神事「焼嗅(やいか)がし」が営まれ、参拝者約2500人が無病息災や1年の幸せを祈願した。
平安時代に獣肉を焼いた臭いで、田畑を荒らす害鳥を追い払ったのが起源とされる。住吉神社では毎年、世相を風刺した寸劇を披露しており、今年は赤鬼のほか、「物価高騰」と書かれた紙を首から下げた「貧乏神」や、男性の恋愛感情を利用して多額の現金をだまし取る「頂き女子」らが次々と登場した。
鬼たちが現れると、「はよ焼け、それ焼け」のかけ声とともに、巫女(みこ)がイワシの頭を網で焼き、氏子らが大きなうちわであおいで追い払った。
初めて参加した広島市安佐北区の女性(76)は「興味深く、おもしろい神事だった。去年は病気をしたので、今年は健康を取り戻したい」と話した。