新宿歌舞伎町で怪談のように語り継がれてきた「恐怖の焼き鳥店」が当局の手に落ちた。
【画像】安堵する鳥貴族の大倉忠司社長
警視庁暴力団対策課は1月28日、偽計業務妨害の疑いで、人気焼き鳥チェーン「鳥貴族」の系列店をうたってぼったくり行為をしていた東京・新宿歌舞伎町の焼き鳥店の実質経営者、高橋謙治容疑者(58)ら男女15人を逮捕した。
「逮捕された15人のなかには警察当局が準暴力団としてマークする『チャイニーズドラゴン』の関係者もいました。15人が関わっていた2つの店舗は、鳥貴族の店舗の前で『鳥貴族は満席。系列店なら空いている』などと嘘を言って自分たちの店に案内し、鳥貴族とは似ても似つかない料理で高額料金をふっかける手口で歌舞伎町の客に恐れられていました」(警視庁担当記者)
新宿歌舞伎町
全品360円均一で低価格、高価値をモットーに、全国で数百店舗を構える鳥貴族。かたやこの偽系列店は高価格、低価値が常で警視庁には20件以上の相談が寄せられていたという。
「座っただけでお通し代、席料、週末料金などと称して各1000円、計3000円を加算されてしまう。店名だけは『とりいち』などと『鳥』の名前を冠して少し被ってはいましたが、それも数カ月ごとに変える始末で、共通点はほぼゼロでした」(同前)
ただ、人の口に戸は立てられない。ネットではかなり前から怨嗟の声が巻き起こっていた。
「サワーはアルコールの味しません」「肉はカチカチ。コンビニの方がまだまし」「日本で一番のぼったくり」「トイレまで汚い」と、口コミ評価は星1つがズラリ。店関係者なのか一部に高評価が混じるが、なかには「ぼったくりだと騒ぐと更に1人追加2万円」との張り紙が店内にあったとする書き込みまであった。
こうした投稿が増え始めたのは2021年ごろ。この年の12月には鳥貴族創業者の大倉忠司社長が「皆様気をつけてください! 鳥貴族は客引きを一切していません」とツイッター(現X)で注意喚起をしたほど。だが、警視庁が動いたのはそこからさらに2年余りが過ぎてからだった。

「ずさんにみえてこの店がずる賢いのは、店内に値段などに関する注意書きを見えるように張り、客の同意を取ったと装っていたこと。さらに実際に飲食物は提供していたうえ、値段が『プチ』ぼったくり程度で、詐欺とまでは言い切れない金額だったこと。警視庁が偽計業務妨害で身柄を取ったのは苦肉の策だったといえる」(捜査関係者)
この捜査関係者は「新型コロナ禍で多様な脱法業態が生まれており、当分、警察の手入れは続くだろう」と予言する。「シン・歌舞伎町浄化作戦」の始まりか。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年2月15日号)