芸人として活躍しながら、小・中学生向けの補修塾を経営する笑い飯の哲夫。そんな彼が子どもの教育に悩む親たちの相談に答えた週刊SPA!の連載が『がんばらない教育』という一冊の単行本になって12月22日に発売! 発売を記念して、子どもの教育に悩む親たちからの相談に答えていく本書の一部を特別公開! (初公開2023年6月12日の再配信)
◆そろそろ息子にコンドームを渡すべき?
相談者45歳男性・自営業(妻、息子14歳)
中学3年になる息子が、少し先の休みの日にガールフレンドとディズニーランドに行くそうです。門限は22時とし、節度ある行動を心がけるように伝えましたが、わが息子ながらチャラいところがあるので、念のために避妊具を渡しておくべきか悩んでいます。
妻にはいくら何でも気が早すぎると言われたのですが、自分自身経験年齢が早く、周りも中学生で初体験を済ませているコが多い学校でした。高校時代に望まない妊娠をした経験のある女友達もいたので、どうしても心配になってしまいます。
学校でも家でもきちんと性教育を受けたことがないのに、いきなり避妊具だけ渡しても、やぶ蛇になってしまうでしょうか。
◆哲夫のアンサー
大学時代、彼女でもない女のコに「家に泊めてくれ」とお願いすると、「絶対いや」と断られ、「大丈夫やて。コンドーム持って行くから」と念押しすると、「もっといや」と突き返されたことがありました。愉快なひと時でした。
大人が子どもにコンドームを持たせるのは、セックスしてこいという意味です。絶対に持たせないでください。もちろん女性用の避妊具も持たせないでください。息子さんの情欲に関する自主性を奪うことになります。やめてあげてください。
今の時代、親が14歳の息子に「セックスしてこい」と言うべきでしょうか。昔の大名など、言うべき要因がある場合なら言うべきだったのでしょうが、そんな要因がないなら言うべきでないというのは理解していただけると思います。
しかし相談文を熟読すると、どうやらお父さんは、息子さんが生でセックスする事態を危惧していらっしゃるようです。ならば、お父さんは息子さんに、「ゴムつけてセックスしてこい」と言うべきでしょうか。
今もしお父さんが、よし、そう言おう、とお考えになったのなら、勘弁してください。まずは、コンドームに全面的な安心を委ねて、それを子どもに奨励する傾向を見直しましょう。まずないとは思いますが、もしコンドームの先が破れていて、生でセックスしたのと同じ状況になったら、せっかくの危惧も台無しになります。
◆モテる男とモテない男の違いを教えるべき
ではここで、息子さんが次のデートのときに、セックスをしない方法が一つだけありますので、そちらを伝授させていただきます。
今すぐ、女の子の排卵と生理と受精から出産に至るメカニズムおよび苦労を、お父さんから息子さんに教えてあげてください。モテる男とモテない男の差の一つに、それらを理解しているかどうかがあるように思います。もちろん理解しているほうがモテる男です。
理由を説明するのはあまりに無粋なので割愛しますが、息子さんにはぜひモテる男になっていただきたいです。大学時代、なにもわかっていなかったくせに、モテる男を説いてすみません。とどのつまり、モテるくらいに理解した男は、決して女のコが望まないことをしないと考えられるのです。
◆ガールフレンドの望みはあくまでもディズニーランド
ここで残念な報告になりますが、今回、息子さんのガールフレンドが望んでいるのはディズニーランドです。女のコが息子さんを本望とするデートであれば、目的地は別でいいはずです。ところがディズニーランドが目的地なわけですから、ガールフレンドは息子さんの生どころかゴムつきも望んでいません。
ディズニーが本望で、それを煌々と彩る同伴者が息子さんです。あの美しい城が、わが息子も天を突き刺す形状になるのだと父を惑わしたとしたら、それは魔法でしょうか。
★避妊具を渡す前に排卵、生理、受精、出産の苦労を教えよう
(イラスト/とあるアラ子 図版/ミューズグラフィック)