軍事転用可能な機械を不正輸出した疑いで逮捕・起訴された後に異例の「起訴取り消し」となった「大川原化工機」の社長らが、国などに損害賠償を求めた裁判の判決で、東京地裁は27日午後、国と都に総額約1億6000万円の賠償を命じる判決を言い渡した。
この事件は横浜市の機械メーカー「大川原化工機」の大川原正明社長ら3人が、2020年に軍事転用が可能な機械を不正に輸出した疑いで逮捕・起訴され、その後、東京地検が初公判直前に「軍事転用可能かどうかについて疑いが生じた」として起訴を取り下げたもの。
およそ一年にわたって勾留された大川原社長らは、「警視庁公安部は『立件ありき』の姿勢で事実をねじ曲げた不当な捜査だった」として国と都に5億7000万円の賠償を求めていた。
裁判では、警視庁公安部が機械を輸出規制の対象だと判断した経緯や、実験が十分だったかなど捜査の違法性が争点となっていた。
また、担当した現役警察官が事件について「ねつ造」と発言するなど異例の証言も注目されていた。
東京地裁はきょうの判決で捜査の違法性を認め、国と都に対して賠償を命じる判決を言い渡した。