消費税について、岸田文雄首相が国会で「減税は考えてないから効果も考えていない」との内容の発言をしたことが、X(旧ツイッター)上で取り上げられ波紋が広がっている。
参議院で2023年11月1日に開かれた予算委員会では、岸田政権が打ち出す所得税減税への効果について、野党議員らから質問攻めの状態になった。
そんな中で、消費税減税についても比較に出され、共産党の山添拓氏は、それを推進する立場から、岸田首相の考えをただした。
山添氏が物価引き下げなどの効果を主張して意見を聞くと、岸田首相は、「そもそも引き下げるということは、考えておりません」と突っぱねた。
これに対し、山添氏は、消費税などの選択肢から所得税を選んだと岸田氏が説明したとして、消費税減税の効果の検討をしなかったのか聞いた。すると、岸田氏は、「消費税を下げることは検討いたしませんでした」と最初から考えていなかったことを明言した。
この答弁には、国会内がザワつき、驚きが広がった。
岸田首相の発言に驚く声は、X上でも上がっており、このシーンの動画が次々に投稿され、意見が相次いでいる。「検討すらしてないんかい!」「最初に政策ありきで効果は後付けなの?」「耳を疑った」などと発言に失望する声が多い。
消費税減税については、シンクタンクの研究員らから、経済効果があるとする試算結果も出されている。
あるエコノミストは、消費税減税がGDPを押し上げる効果は、所得税減税の2倍以上だと大手シンクタンクのサイトなどで自説を唱えている。所得税減税分の一部は貯蓄に回ってしまうという点を主な理由に挙げた。
一方、一時的な消費税減税には、弊害が生じるとの指摘もある。引き下げ前後に買い控えや買い急ぎが起きて愚策だとする経済評論家もいるほか、新聞報道などによると、ドイツでは、付加価値税の減税に踏み切った後に、消費がさほど拡大しなかったともされている。
岸田首相は、消費税減税を検討しなかった理由について、11月1日の参院予算委で、別の野党議員の質問に次のように答弁している。
ただ、社会保障の財源を別に考え、消費税減税の効果を考えていく選択肢がなかったかなどについて、議論を呼ぶ余地はありそうだ。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)