大阪府は25日、府民対象の所得制限のない高校授業料完全無償化の制度案を決めた。
議会の承認を経て、来年度から高3で始め、2026年度から全学年で実施する。文部科学省によると、世帯の所得を問わない無償化は全国で初めて。
府幹部による戦略本部会議で決めた。制度案は府内全世帯を対象とし、私立高への補助額の上限となる標準授業料を現行の年60万円から年63万円に引き上げ、超過分は学校が負担する仕組み。現制度に参加する全96校が対象で、24年度に高3、25年度に高2と高3と段階的に広げ、26年度に全学年で実現させる。
24、25年度の対象学年は経過措置として、63万円を上回る授業料は世帯年収800万円未満なら無償だが、800万円以上なら保護者が負担する。
吉村洋文知事は今月9日、大阪の私学団体に標準授業料の引き上げなどで負担を軽減する考えを伝え、完全無償化の実施で合意した。
制度案には府外の私立高に通う場合も対象とすることを盛り込んだ。今後、大阪以外の近畿5府県の私学団体に説明し、参加を呼びかけるが、大阪府在住者だけが無償となることに「生徒間に不公平が生じる」(兵庫県の私学団体幹部)など慎重意見も根強い。