おととしのハロウィーンの夜に、東京・調布市を走る京王線で乗客の男性が切りつけられ、車内が放火された事件で、殺人未遂などの罪に問われている26歳の男の初公判が開かれ、男はさきほど起訴内容を一部否認しました。
無職の服部恭太被告(26)はおととし10月31日の夜、京王線の車内で乗客の男性(当時72)の胸をナイフで刺して大ケガをさせたほか、ライターのオイルをまいて火をつけて、ほかの乗客12人を殺害しようとした殺人未遂の罪などに問われています。
きょう午前11時から東京地裁立川支部で服部被告の初公判が開かれていますが、服部被告は「男性をナイフで傷つけたこと、ナイフを持っていたこと、火をつけたことは認めます。しかし、男性以外が殺人未遂の対象になるかはわかりません」と述べました。
その後、服部被告の弁護士は、乗客12人に対する殺人未遂の成立について争う方針を示しました。
一方、検察側は冒頭陳述で、被告が「大量殺人をして死刑になりたいと考えるようになった」と指摘しました。
きょうの法廷には、丸刈りの髪型に黒いスーツ姿で出廷し、裁判長からの質問に小さな声で答えた服部被告。事件当時は、映画「バットマン」に悪役として登場する「ジョーカー」のような服装で車内に腰掛け、タバコを吸っている姿が捉えられていて、逮捕後の警視庁の取り調べに対し「ジョーカーに憧れていた」と供述していました。
また、服部被告は事件のおよそ3か月前、2021年8月に起きた小田急線刺傷事件を参考にしたとみられていて、「人を殺して死刑になりたかった」「電車内だと乗客が逃げられないと思った。人が多いハロウィーンの日を狙った」とも供述していたということです。
裁判では、服部被告が電車内に火をつけた犯行について乗客への殺意があったかどうかなどが争点になる見通しです。
裁判は裁判員裁判で審理され、来月、被告人質問などを行った後、判決が言い渡される予定です。