「脱糞民主党」などとTwitter上に書き込んだために、立憲民主党から名誉毀損罪で刑事告訴された――。こんな投稿が話題となっている。
批判的なネット投稿をしたとはいえ、政党が刑事手続きをとることについて、SNS上では「やりすぎではないか」という意見が相次ぐ。
一方で、立憲民主党による開示請求訴訟の判決では「政党に対する表現の自由として最大限に尊重されるべきであるという類いのものではない」とも指摘されていた。
立憲民主党は5月30日、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「回答差し控え」とした。(編集部・塚田賢慎)
ユーザーの投稿(5月22日)によると、「日曜日」(5月21日か)に警視庁の家宅捜索があり、スマホやタブレットを押収されたほか、地元の警察署で任意の取り調べを受けたという。
「国政政党からの名誉毀損。あり得ないと思っています」「断固戦います」
などとつづっている。その後も、noteで警察によって交付されたという押収品目録を公開した。
今回指摘されている捜査に先立って、立憲民主党による開示請求訴訟がおこなわれていた。(判決は今年3月23日)
判決文によると、立憲民主党が問題としたのは、2022年5月のTwitterやnoteなどの投稿。
「脅威の下ネタ団体 脱糞民主党」としたうえで、「焼肉屋さんのお座敷でわざわざ脱糞 そして知らん顔でトンズラwww ええ歳した愛知県議らが何をやってんだwww あり得ないだろwww」などと記載されていた。
また、立憲民主党所属の愛知県議らが会食した高級焼肉店に排泄物が放置されたとされる「事件」を報じた文春オンラインの記事のURLが付けられていた。
立憲民主党の愛知県連は、報道当時、議員が「事件」に関わった事実がないとする声明を公表した。
開示請求の判決は、Twitterへの投稿が立憲民主党の社会的評価を低下させるとして、発信者の情報開示をプロバイダに命じている。
判決文によると、立憲民主党が権利侵害を受けたとされる投稿をしていたTwitterのアカウントと、今回「家宅捜索を受けた」とツイートしているアカウントは同じである。
ユーザーが刑事告訴されたことを明らかにすると、ネット上では「やりすぎではないか」「『脱糞民主党』と書いたことに関して擁護する気は全くないけど、政党がこれを名誉毀損で訴えるというのはありなのか?」など、さまざまな反響があった。
政党であれば、どんな言葉も甘んじて受けとめなければならないのか。
この点において、開示請求訴訟の判決では、「極めて低俗かつ卑猥な表現の仕方で原告の社会的評価を低下させようとする意図のもとにされていることは明らかであって、各投稿は、その表現の仕方の点において政党に対する表現の自由として最大限に尊重されるべきであるという類いのものではないというべき」と判断している。
弁護士ドットコムニュースは、刑事告訴したことが事実であるかという確認と、「やりすぎ」という意見があることの受けとめ、法的措置の前にコンタクトをとらなかったのか、などについて立憲民主党に回答を求めた。
5月23日に問い合わせたところ、1週間返答がなかった。改めて同30日に連絡すると、立憲民主党は「ご返答したものと誤認しておりました。大変失礼しました」としたうえで、「個別の事案については、お答えを差し控えさせて頂きます」とだけコメントした。