独身のまま中年になるともれなく狂う―。世間に流布されるこうした言説は、果たして本当なのか? 独身中年男性に直撃、彼らの心の叫びを聞いた。◆年収1300万円超の高給取りだが、ある日突然…
都内商社に勤める中田淳一さん(仮名・46歳)は、年収1300万円超の高給取りで経済的には恵まれているが、「45歳を過ぎておかしくなってきた」と頭をかかえる。
「以前と変わらない生活を送っているはずなのに、若いころに比べて打たれ弱くなったんです。先日は、取引先に送ったメールに誤字があったことに気がつき、激しく落ち込んで会社を早退しました。
昨日なんて、植物の雄しべと雌しべが受粉する教育番組の映像を見ただけで、半日涙が止まらず、そんな自分の変化に戸惑っています」
◆土日は一日中ベッドの上
40代前半まで、仕事一筋で出世することだけを考えてきたという中田さん。恋愛はおろか友人関係もなおざりにしてきた結果、気の許せる人もいなければ、趣味もないとうなだれる。
「何もすることがない土日が恐怖でたまらず、婚活に励んでいた時期もありましたが、結果は惨憺たるものでした。子どもは絶対3人欲しいので、20代との結婚を希望していますが、それを口にすると『オジサンのくせに若いコがいいなんてキモい』と言われるので、本当に傷つきます。
ブラック企業で低賃金の取引先の人ですら、家庭があって僕より幸せそうなのが腑に落ちませんね。なぜ、他の人が普通にできていることが自分にはできないのか……。仕事も結婚も満足にできない自分が許せないんです」
そんな劣等感からか、現在中田さんは、市販の抗精神薬を多めに飲み、土日は一日中ベッドの上で過ごしているという。心配した実家の家族は、精神科に行くように勧めているようだが、かたくなに「病院には絶対に行かない」と決めている。
彼が自分自身を受け入れ、幸せになる日はくるのか。
取材・文・撮影/SPA! 独身中年男性調査隊